あなたの頭痛のもとは首の痛みかも 「片頭痛持ちの75%に首の痛み」、予防や治療法は?
つながりを示す証拠や新たな治療法の研究が進む、痛みのサイクルを断ち切るには
痛みは痛みを生む、とよく言われるが、首の痛みは頭痛につながることを示す証拠が積み重なってきている。2023年7月に医学誌「Journal of Headache and Pain」に発表された研究により、首まわりの筋肉とある種の頭痛との関係が明らかになった。 ギャラリー:「病気を生む顔」になる食べ物とは 画像5点 研究者たちが50人の参加者を調べたところ、首の痛みと2種類の頭痛(緊張型頭痛と片頭痛)との関連を発見した。さらに、MRI(磁気共鳴画像法)スキャンの結果、頭痛のある人では僧帽筋(背中の中央から首や肩に伸びる筋肉)にわずかな変化があり、それが神経の活性化による炎症ではないかと研究者たちは考えている。 「僧帽筋の変化と、MRIスキャン当日までの30日間の頭痛日数および首の痛みとの間にも、有意な関連が認められました」と、論文の著者の一人で、ドイツのウルム大学病院とミュンヘン工科大学に所属する放射線科医のニコ・ソルマン氏は言う。「これらの発見は、頭痛において首と脳とが互いに関係しているという客観的な証拠になるかもしれません」 一方、首の痛みと緊張型頭痛や片頭痛との関連については異論はないが、「MRI画像から炎症だと推定することはできません。筋肉の緊張や収縮である可能性があります」と指摘するのは、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学の神経学教授で世界頭痛協会の会長であるマーク・グリーン氏だ。 2023年4月に医学誌「Neurology」に掲載された別の研究では、片頭痛の発作前、発作中、発作後のいずれにおいても首の痛みが起こりやすいことが明らかにされている。 「首の痛みは片頭痛の引き金だと思われがちですが、片頭痛の発作に伴う神経系の活動が始まったサインでもあります」と、この論文の著者の一人である米アルバート・アインシュタイン医科大学の神経学臨床教授のドーン・C・ビューズ氏は言う。「首の痛みは、片頭痛の治療を始める合図になるのです」