あなたの頭痛のもとは首の痛みかも 「片頭痛持ちの75%に首の痛み」、予防や治療法は?
首の筋肉、脳、痛みの結びつき
首の痛みが頭痛を引き起こすのか、あるいは両者が共存しているだけなのかは、完全には解明されていない。しかし、「片頭痛の人は、片頭痛の発作がないときにも首の痛みがあることが多いというところまではわかっています」と、米メドスター・ジョージタウン大学病院の頭痛センター所長で臨床神経学教授のジェシカ・アイラニ氏は言う。 多くの頭痛の共通点は、「第5脳神経」とも呼ばれる「三叉(さんさ)神経」にある。三叉神経は脳幹から出て首の上部まで下りてきていて、顔や頭のさまざまな部位の痛覚、触覚、温度覚の信号を脳に伝えている。 首の痛みにより、「上位頸神経(首の上部で脊髄から出る神経)が三叉神経を活性化させ、片頭痛を誘発することがあります」とグリーン氏は説明する。「片頭痛持ちの75%に首の痛みがあります」 また、痛みが長く続いて神経系が慢性的に活性化した状態になり、痛みを感じやすくなる「疼痛感作(とうつうかんさ)」が働いている可能性もある。アイラニ氏は、「すべての痛みは脳にあるため、ある部位の痛みが強いと、別の部位の痛みも強くなりやすいのです」と説明する。「脳が過剰に感じやすくなると、痛みが増幅され、脳が痛みの信号を遮断するのも難しくなります」
頭痛と首の痛み、なりやすい人は?
このメカニズムからすると、(緊張型頭痛や片頭痛になりやすい人なら)首の痛みがあれば誰でも、これらの頭痛の発作が始まる可能性があることになる。 さらに、脊椎症(脊柱の関節や椎間板が変形した状態)がある人、姿勢が悪い人、スポーツ外傷のある人などは、首の痛みと頭痛のダブルパンチになりやすい。 「首の痛み、頭痛、痛覚過敏の組み合わせは、むち打ち損傷後の急性期の患者にも見られます」と、神経科医で米ハートフォード・ヘルスケア頭痛センターの所長であるブライアン・グロスバーグ氏は言う。 ただし、首の痛みと頭痛に加えて「悪寒、発熱、協調運動障害、平衡(バランス)感覚障害、歩行困難、関連痛、腕や脚のしびれなどがある場合は要注意です」とビューズ氏は言う。このような場合、首の痛みは腫瘍や髄膜炎のサインである可能性があるからだ。 これらの懸念すべき症状がなく、緊張型頭痛や片頭痛の発作に首の痛みが伴っているだけの場合には、首の痛みと頭痛が互いに誘発し合わないように両方を治療することが課題となる。グリーン氏は、「このような場合は、問題が悪化しないように、首の痛みの治療に積極的に取り組んでください」と話す。