「そろそろ休みましょう」…悩みや体調を可視化するスマホアプリ、発達障害の大学生が開発
同じ悩みを抱えるのは自分だけではないはず。発達障害は社会的に認知度が向上したものの、必要な支援が行き届いているとの実感は薄い。「当事者の手で変えていく」と心に決めた。
学校現場に届けたい
高校入学後、発達障害の人のサポートについて具体的に考えるようになった。学校での居場所づくりなど、さまざまなアイデアが浮かんだが、「より多くの人に届けたい」との思いからアプリ開発を志した。
ビジネスプランを競うコンテストに出場したり、クラウドファンディングを募ったりして、問題意識を共有できる仲間や必要な資金を地道に集めた。令和4年12月には一般社団法人「Focus on」(滋賀県草津市)を立ち上げた。
プログラミングが得意なメンバーとともに、アプリのテスト版を作成。発達障害のある知人らにサービスを利用してもらい、寄せられた意見をベースに改良を重ねた。
今年2月末、ようやくサービス開始にこぎつけた。「リリースが近づくにつれて、とても忙しくなったが、長年実現したかったアプリができてとてもうれしかった。発達障害の人に限らず、『普通を頑張る人』が使えるアプリになった」と胸を張る。
アプリはすでに約1200件ダウンロードされ、利用者からは「求めていたアプリに感動している」「自分の頑張りが客観的に評価できて良い」との声が寄せられている。目標は、自分のような子供たちが使えるよう、学校現場にも普及させることだが、課題も多い。共有された児童生徒の疲れや困りごとに、教職員はどのように対応すべきか。受け止める学校現場へのヒアリングも不可欠だ。
「不登校に悩んだ小学生の時の自分が使いたかった、そんなアプリの開発を目指してきた。これからも改良しながら、本当に必要な子にアプリが届くように広めていきたい」と笑顔を見せた。
音や光、ざわつきが疲れやすさに影響
発達障害は、ASDや注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの総称。主な特性として、ASDには、物事や手順へのこだわりが強い▽コミュニケーションが苦手▽予想外のことにパニックを起こす。ADHDには、落とし物・忘れ物が多い▽じっとしているのが苦痛―などがある。