「そろそろ休みましょう」…悩みや体調を可視化するスマホアプリ、発達障害の大学生が開発
発達障害などの当事者が毎日の疲れを記録・共有することでセルフケアにつなげ、困りごとを周囲に伝えることができるアプリが誕生した。開発したのは、発達障害のある立命館大産業社会学部の森本陽加里(ひかり)さん(21)。生きづらさに苦しみ、支援しようとする人にもそれを伝えられなかった自らの体験が原点。「疲れを可視化して、頑張りすぎて心が折れてしまう前に対処できれば」。趣旨に賛同する仲間とともに、当事者だからこそ分かる視点で、誰かの心を軽くする。 【写真】疲れ度が表示されるアプリの画面 疲れがたまると警告 アプリの名称は「Focus on(フォーカスオン)」。朝晩に1回ずつ、自らが感じている疲れを5つのレベルから選択すると、その数値が0~100で表示される。疲れている日が続き、数値が90を超えると、自動的に「そろそろ休みましょう!」と警告が出る。日記機能もあり、悩みやその日の出来事を記録することもできる。 アプリに記録された疲労の状況や日記の内容は保護者や教員ら、自ら登録した人と共有することができる。これにより、伝わりづらい困りごとを周囲に知らせることができる。 開発のきっかけは、幼いころの体験だ。小学校の時から大きなチャイムの音や同級生が騒ぐ音、突然の授業変更などに強いストレスを感じていた。そうしたことが要因となって漠然とした生きづらさを抱えるようになり、小学2年の時からは登校できず、引きこもりがちに。その後、病院で広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害=ASD)との診断を受けた。 当事者の手で 親や担任の先生は悩みを理解しようと手を尽くしてくれた。しかし、自らが困っていることを正確に伝えることは難しかった。 「普通に生活しているように見えても、本人はとても疲れていたりする。思っていることがうまく伝えられず、支援者の認識との間にズレを感じていました」(森本さん)。疲れているということだけではない。普段の生活を頑張っているということを、誰かに知ってもらえるだけで心は軽くなる。 「頑張りすぎて一度心が折れてしまうと、元に戻るまで多くの時間とエネルギーがかかる。その前に休んだり、誰かを頼ったりすることができたら」