「女脳」「男脳」はなぜ間違っているのか…女性と男性の「性差」についての意外な事実
「男の子は、良くも悪くも、ずっとバカ。でもそれが可愛いらしいの~」 これは、あるテレビ番組で子育て中のタレントが発した言葉の一部です。こうしたフレーズは、親同士の会話の中でもよく聞かれます。子育てトークの鉄板ともいえる「性差あるある」の会話は、楽しいものですよね。しかし、こうした親や教師の何気ない考え方が、子どもの将来を狭めていると聞いたら、ハッとする方も多いのではないでしょうか。 【写真】「女性のほうが脳梁が太い」という研究が信用できない理由 一度、立ち止まって、よく考えてみましょう。男子は本当に、「ずっとバカ」でしょうか。女子は本当に、生まれたときから「お姫様っぽい女子」だったでしょうか。実は、人間の赤ちゃんの心に、性差はほとんどありません。幼児になると能力や行動にごくわずかな性差が現れますが、ほとんどの面において差は認められません。では、どうして心に「男性らしさ」「女性らしさ」が現れるのか。このたび、心理学や神経科学の膨大な研究を分析し、こころの性差が生まれるメカニズムを科学的に解明する書籍ができました。『つくられる子どもの性差 「女脳」「男脳」は存在しない』より1章を先行公開致します。 ※本記事は森口佑介著『つくられる子どもの性差 「女脳」「男脳」は存在しない』(光文社新書)から一部抜粋し、再構成したものです。 前回記事<世界的に権威のある科学誌「サイエンス」誌に報告された「女性のほうが脳梁が太い」という研究が信用できない理由>より続く。 森口佑介(もりぐちゆうすけ) 福岡県生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。京都大学大学院文学研究科准教授。専門は、発達心理学・発達認知神経科学。著書に『10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割』(ちくまプリマー新書)、『子どもから大人が生まれるとき 発達科学が解き明かす子どもの心の世界』(日本評論社)、『子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か』(PHP新書)、『自分をコントロールする力 非認知スキルの心理学』(講談社現代新書)、『おさなごころを科学する 進化する乳幼児観』(新曜社)などがある。