ガジェット視点で2024年を先取り予測。覚えておきたいデジタル系注目トピックス5選
4.「生成AI」がさらに面白くなりそう
2022年から2023年にかけては、OpenAIの「ChatGPT」や、Adobeの「Adobe Firefly」などを筆頭に、さまざまな生成AIが話題になりました。AIに関するトレンドはすでに「マルチモーダル」(=テキストや画像、音楽などを複合的に処理するAI)へと移りつつあり、2024年にはその傾向がさらに顕著になると思われます。 おそらく、その象徴的な存在になると思われるのが、Googleが12月に発表した「Gemini(ジェミニ)」。すでにご覧になった方も多いと思いますが、その動作イメージを伝える動画は衝撃的でした。 例えば、カメラに映した楽器の落書きに対して、マッチするサウンドを再生したり、紙コップに隠して位置をシャッフルしたボールの位置を当てたり――。AIが柔軟に応答していく様子には、AIのある未来の生活を具体的にイメージできた方も多かったことでしょう(※まだご覧になっていない方は一度視聴しておくことを勧めます)。 この「Gemini」は、最も高性能な「Ultra」、幅広いタスクに対応する「Pro」、スマートフォンなどのデバイスで展開される「Nano」――という3つのサイズで展開される予定。動画で紹介されたような驚異的な体験が、誰しも体験できる時代がすぐくるわけではないでしょうが、今後の発展・普及には期待が高まります。
5.「Auracast」対応のワイヤレスイヤホンが出てくる?
手元のイヤホンで、公共の場の放送を聴くという機会が増えるかもしれません。これは、Bluetooth LE(Low Energy)のオーディオ規格「LE Audio」における「Auracast(オーラキャスト)」という機能が話題に上がってきたから。23年には同機能が展示会で説明されている機会も増えていきていた印象があったので、2024年には徐々に対応製品が増えていくだろうと思われます。 なお、関連用語が複雑で、検索したときに全体像が掴みづらいと思うのですが、技術的にはこれまで「Broadcast Audio(Audio Sharing)」と呼ばれていたものであって、その名称を商標としてブランド化したのが「Auracast(オーラキャスト)」である――という関係になることを覚えておくと、幾分かマシになると思います。 さて、これがどんな機能かというと、「多数のワイヤレスイヤホンに向けて、音声を送信できる技術」となります。つまり、公共施設において、自分の持っているワイヤレスイヤホンを接続して、必要な音声を視聴できるというイメージ。美術館で音声解説を聴いたり、ジムで流れているテレビの音声を聴いたり、講演会で翻訳音声を聴いたり――。これまで音声端末や、翻訳機のレシーバーなどが必要だった場面で、手持ちのAuracastイヤホンが使える(あるいは配布される音声端末やレシーバーがスタイリッシュになる)という時代が近づいているのかもしれません。 まだまだ具体的なイメージが掴みづらいテーマではありますが、今後国内でどんなユースケースが出てくるのか楽しみにしておきたいトピックです。 24年にこれらのトピックスがどこまで話題になるかは分かりませんが、それぞれについて注目しておき、派生するニュースも含めて楽しく眺めてもらえれば幸いです。
<文/井上 晃>