【ホープフルS展望】クロワデュノール中心に素質馬がズラリ 武豊は前人未到の大記録達成なるか?
[GⅠホープフルステークス=2024年12月28日(土曜)2歳、中山競馬場・芝内2000メートル] GⅠに昇格した2017年以降は特別な例(2025年は27日開催)を除けば12月28日に行われるホープフルS。多くのファンにとって一年の締めくくりは有馬記念だろうが、中央競馬における最後のGⅠとして定着している。 昇格当初は18年サートゥルナーリア、19年コントレイルとクラシックホースを出したが、その後3年の勝ち馬はのちのGⅠ勝ちがない。そんなタイミングで、昨年の勝ち馬レガレイラが有馬記念を制覇。レースの存在感を再びクローズアップされた形だ。 さらには、芝GⅠの好走馬だけでなく22年1着ドゥラエレーデ(チャンピオンズC2年連続3着)、23年3着馬サンライズジパング(みやこS勝ち)など〝二刀流〟ホースも出ている。なかなか奥の深さを感じさせるレースだ。 今年の主役は登竜門・東スポ杯2歳Sを制したクロワデュノール(牡・斉藤崇)。キタサンブラック産駒、青鹿毛の馬体、新馬→東スポ杯連勝発進は最強馬イクイノックスをほうふつとさせる。東スポ杯当時でも「まだ100点満点ではない」(北村友)という状態だっただけに、短期間ではあるものの前走からどれだけ成長した姿を見せるか注目だ。勝てば、東スポ杯覇者によるホープフルS優勝は20年ダノンザキッド以来となる。 もう一頭、重賞ウイナーとしては札幌2歳S勝ち馬マジックサンズ(牡・須貝)が参戦。2着馬アルマヴェローチェが阪神JFを制し、3着ファイアンクランツが東スポ杯でクロワから0秒4差4着だから、価値ある勝利だろう。2週前にやや順調さを欠いて時計を出せなかった点は気掛かりだが、1週前の動きはその不安を一掃するものだった。鞍上は3度目のJRA・GⅠ騎乗となる佐々木。初のGⅠタイトル、そして1984年のグレード制導入後は初となるJRA2歳重賞年間4勝目を手にできるか。 マスカレードボール(牡・手塚)は、姉マスクトディーヴァ同様の切れ味を武器に新馬→アイビーSを連勝。その姉が秋華賞2着馬だから、初の10ハロン戦も克服できる可能性は秘めている。前走のタイムは、東京芝1800メートルの2歳戦で歴代2位タイという価値あるもの。昨年のレガレイラに続くアイビーS組のホープフルS制覇となるか。 ショウナンマクベス(牡・武市)は、百日草特別で鮮やかに抜け出して快勝。今回と同舞台の芙蓉Sを制したジェットマグナム(牡・安達)、コスモス賞を逃げ切ったアスクシュタイン(牡・藤原)ともども先行力は大きな武器となりそうだ。ジョバンニ(牡・杉山晴)は昇級後連続2着だが、負けた相手はともに来春の主役候補エリキング(骨折で休養中)ならば、悲観するものではあるまい。デビュー3戦すべてが異なる競馬場で好走しており、そのセンスの良さは強調したい。 全馬が出走できることになった賞金400万円組も面白い馬が揃った。ピコチャンブラック(牡・上原佑)はアイビーSでマスカレードの決め手に屈したものの、福島の新馬戦では7馬身差の衝撃V。鞍上に川田を配し、この舞台で非凡な持続力を発揮できればチャンスはありそう。黄菊賞でミュージアムマイルの2着に敗れたヤマニンブークリエ(牡・松永幹)は武豊とのコンビ。鞍上は平地GⅠ完全制覇がかかる一戦だ。3冠牝馬アパパネを母に持つアマキヒ(牡・国枝)、セレクトセール〝3億円ホース〟ジュタ(牡・矢作)の2頭は、GⅠ昇格後初となるキャリア2戦目でのホープフルS制覇を狙う。
東スポ競馬編集部