監督交代させたセレッソ大阪の強化方針にドタバタ矛盾
今シーズンのセレッソはキャリアハイの8ゴールをあげた、31歳の元日本代表MF清武弘嗣が完全復活した。さらに31歳の香川が加わり、梶野統括部長が思い描く「経験が豊富で、レベルの高い選手がそろう」状況をより充実させたいのだろう。ボルシア・ドルトムントで香川を象徴する背番号となった『23』を空けたままにしているのは、いつでも迎え入れるという誠意の表れでもある。 もっとも、引き続きヨーロッパでのプレーを望む香川にとっては、今夏の時点で終わった話だったのだろう。日本代表で共闘した本田圭佑(ボタフォゴ)らと違い、ほとんど利用しないツイッターをおもむろに更新。つぶやきの最後を「ではおやすみ。」で締めたにべもない投稿からは、唐突な古巣復帰報道に誰よりも香川自身が驚き、果ては不快感を募らせた跡すら伝わってくる。 来シーズンの開幕時に68歳になるクルピ新監督へオファーを出したのも、今月に入ってからだったという。昨年4月にアトレチコ・ミネイロを解任されてからは監督業を引退していただけに、古巣から届いた突然のオファーに「びっくりしていた」とその様子を明かした梶野統括部長は、ともに作り上げていきたいスタイルについても「サッカーについては、まったく伝えていない」と断言した。 「伝えているのは『セレッソの未来を一緒に作りましょう』ということです」 年俸の高さが続投断念の理由ではないという説明を含めて、聞けば聞くほどにロティーナ体制の問題点がわからなくなるドタバタ劇。天皇杯で川崎フロンターレかガンバ大阪が優勝すれば、ACLのプレーオフに出場できる来シーズン。その分だけ始動を早めなければいけない状況が高確率で訪れる状況で、右肩上がりの軌跡を刻んできたセレッソは決して小さくはない不安材料を抱えたままオフに入った。 (文責・藤江直人/スポーツライター)