「ボールに水かけ」をジュニア世代が真似たら… 誹謗中傷騒動J1「町田」をJリーグ関係者はどう思っているのか
擁護する声も
一方で、町田を擁護する声ももちろんある。ボールへの「水かけ」はともかく、南米や欧州では、ホームゲームになると、事前に自チームが攻撃するエンドに水を撒いたり、芝に“細工”をしたりすることはまま見られる。「マリーシア(ずるがしこい行為)」をしてまで勝利をもぎ取ろうとする執念は、日本と比べて桁外れに強い。南米や欧米ですら稀である「水かけ」までして、批判をものともせずに勝負に徹する町田と黒田監督の姿勢は、勝利への執念の薄さ、すなわち、日本が未だサッカー強国となれない理由のひとつを、いささか乱暴なやり方ではあるが、わかりやすい形で指し示しているとも言える。 町田は完全にJリーグの悪役と化した。それは今季の観客動員を見てもわかる。今季はホーム(町田GIONスタジアム)よりもアウェーでの1試合平均年間観客動員が多く、既に2万人を突破した。町田のスタジアムが交通の便が悪く、収容規模が少なめという理由がある一方で、町田と対戦する時は、相手サポーターの「ヒール・チームに負けられない」との意識が高まり、応援の熱量が増すという側面もあるのだろう。 町田のサッカーをどう評価するか。それはその人のサッカー観の写し鏡である。誹謗中傷が許されないことはもちろんだが、それを前提とした上で、この問題の是非をファンがタブーなく議論することは、日本サッカー界の発展のために必要なことではないだろうか。 小田義天(おだ・ぎてん) スポーツライター デイリー新潮編集部
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