記者会見する堀内委員長（中央）ら「沢村賞」選考委員の5人

シーズンで最も活躍した先発投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会（堀内恒夫委員長）が28日、東京都内で行われ、1時間40分の大激論の末に、今年は「該当者なし」と決まった。1947年に制定された同賞で「該当者なし」は5年ぶり6度目。 堀内委員長は「たくさんの選手の名が挙がったが、帯に短し襷に長し、あちらを立てればこちらが立たぬ、ということで一本化することができなかった」と説明した。 巨人・菅野智之（35）、戸郷翔征（24）、日本ハム・伊藤大海（27）、ソフトバンク・有原航平（32）、DeNA・東克樹（28）らの候補者の中から、最終的にセ・リーグでただ一人、選考基準の4項目（登板数、勝率、奪三振数、防御率）をクリアした戸郷、パ・リーグトップの182回⅔を投げて最多勝（14勝）を獲得した有原の2人に絞られた。ただ、戸郷は12勝、有原は奪三振137が〝割引き〟材料となり、堀内委員長は「これほどの投高打低の時代に、もう少し成績が出てもいい。この賞は最優秀投手を選ぶのではない。沢村さんの名前を冠した格式、威厳ある賞。無理に選ぶことはない」と話した。 2021～23年はオリックス・山本由伸（現ドジャース）が3年連続受賞。基準項目クリアは5、5、4項目で突出しており、堀内委員長は「ここ3年間は選考しやすかったが…」と最後に本音ものぞかせた。 【沢村賞選考委員】（敬称略・就任順） ・平松政次 ・堀内恒夫 ・山田久志 ・工藤公康 ・斎藤雅樹 【沢村賞の選考基準】 ①15勝以上の勝利数 ②150以上の奪三振 ③10以上の完投試合数 ④2・50以下の防御率 ⑤200イニング以上の投球回数 ⑥25以上の登板数 ⑦6割以上の勝率 ■平松政次氏　「私は菅野を推したが、20年以上、選考委員をやっていて、これほどの〝難産〟は記憶にない」 ■山田久志氏　「菅野はどうしても三振、イニング数が見劣ってしまう」 ■工藤公康氏　「投手分業制の時代なので、僕は完投数よりQS率を見ている。ただ、今回は飛び抜けた存在が見つからなかった」

■斎藤雅樹氏　「菅野はイニング数が物足りないし、最終的に選びきれなかった」