フランス第4の都市トゥールーズ起点に、南部オクシタニー地方を取材した、航空・宇宙産業と文化が融合、地域限定レイルパスで「列車の旅」を提案
地域の拠点「トゥールーズ」、航空・宇宙産業と文化が融合する多様性
「オクシタニー・レイル・ツアー」9路線のターミナルとなっているのが同地域の中心都市トゥルーズだ。「バラ色の街」として形容される赤レンガの街並みや、13世紀まで独立した文化圏を形成していた歴史、航空・宇宙産業など多様な魅力がある。 パリ、マルセイユ、リヨンに次ぐフランス第4の都市で、主要産業はエアバス本社やスペース・フランスに代表される航空・宇宙産業。そもそもトゥールーズには1918年にエールフランス航空(AF)の母体の一つとなったアエロポスタル社が設立されるなど、フランスの航空事業を担ってきた歴史がある。 エアバス社の工場に隣接する航空博物館「エアロスコピア」には、7000平米の広大なホールにコンコルドをはじめとするエアバス社歴代の飛行機や模型が展示されている。その迫力と規模は圧巻だ。 宇宙産業での見どころはシテ・ド・レスパス。宇宙や宇宙開発、産業について学べるテーマパークで、宇宙ステーション「ミ―ル」の試作品や欧州で開発したロケット「アリアン5」、アポロ計画で採取された月の石など、宇宙開発の歴史と軌跡が展示されている。月面探索のアトラクションでは成層圏脱出時の重力も感じる体験ができる。 技術の街として注目したいのが「機械芸術」あるいは「機械エンタテインメント」ともいえるジャンルを生み出す「アール・ド・ラ・マシーヌ」。機械と木でつくられたギリシャ神話の怪物ミノタウロスがシンボルで、フランス南西部の都市ナントにある「レ・マシーン・ド・リル」の象などを製作したラ・マシーン社による施設だ。 開設は、そもそもラ・マシーン社の芸術監督が巨大な機械製作に取り組むきっかけとなったパフォーマンス集団の拠点がトゥールーズにあったことに由来する。ナントの施設がテーマパーク的なものであるのに対し、トゥールーズの施設は実験要素と奏者一体となった遊び心が混在した特徴がある。北仏の港町カレーにもラ・マシーン社が製作したドラゴンとイグアナがいるので、これらをめぐる旅も面白い。 オクシタニー地域、トゥールーズの観光素材は、すべて「特別な旅」となり得る素材ばかりだ。 取材・記事:特派記者 西尾知子 取材協力:フランス観光開発機構、オクシタニー地方観光局、トゥールーズ観光局
トラベルボイス編集部