戦わない「おジャ魔女どれみ」に大人も共感する訳。子育て奮闘や、子供と大人の関わり方など様々な学び。
今年で『おジャ魔女どれみ』が、誕生から25周年を迎えた。 東京・ラフォーレ原宿で開催されたメモリアル展は、連日多くの人で賑わい、リアルタイムで観ていたファンだけではなく、親子2世代で『おジャ魔女どれみ』の世界を堪能している姿が印象的だった。 【写真】おジャ魔女どれみグッズ いまでも大人を含めて新しいファンが増え続けているのはなぜなのだろうか。今回は、その魅力を探ってみた。 ■戦いよりも、人としての成長に重き 1999年から放送開始した『おジャ魔女どれみ』。主人公は魔女になることに憧れを抱く、春風どれみだ。あるとき、魔法グッズ店の「マキハタヤマリカの魔法堂」で店番をしていたマジョリカと出会ったどれみは、彼女の正体が魔女だと気づいてしまった。
正体がバレたマジョリカは呪いによって、マジョガエルにされてしまう。正体を見破ったものの魔法の力でしか、マジョリカを元の姿に戻せない。どれみは、友達の藤原はづき、妹尾あいことともに、魔女見習いとして修業に励むことになる――。 どれみたちは、美空小学校に通う小学生。素直な感情や、その無邪気さも、作品に深みを与えている。 また、『おジャ魔女どれみ』は、よく「戦わない魔法少女」だと言われている。たしかに、ほかの魔法少女作品と比べると、大きな敵と戦うというよりは、どれみたちと周囲の人物たちとの関わりや、彼女たちの成長に重きが置かれている作品だ。
与えられた魔法も、万能な解決手段として描かれることはない。登場人物が迷いや悩みと向き合うなかで、彼らの背中を押す程度だ。 自分にとって都合が良い魔法は使えず、人の気持ちを変える魔法、病気や怪我を治す魔法、人を生き返らせる魔法はタブーとされている。 一方で、全シリーズを通してどれみたちは、マジョリカとともに「MAHO堂」(マキハタヤマリカの魔法堂を、MAHO堂として新装オープン)というお店を営む。
魔法のグッズ屋、お花屋、お菓子屋、雑貨屋と、シリーズごとに内容は異なるが、お店での売上は魔法を使用する際に必要な「魔法玉」と引き換えにされる。どれみたちはお店を営むことに精を出さなければならないのだ。 このように簡単に魔力を得られることができないのも、『おジャ魔女どれみ』の見どころだろう。 「MAHO堂」にある商品は、どれみたちが一生懸命に手がけたもの。魔法で商品を作るのではなく、ここで使われる魔法は「気持ちを込める」といった、心のサポートのようなものだ。