都政改革本部の上山信一特別顧問会見(全文1)このままでは3兆円超のリスク
ガバナンスについて
11ページを見てください。ガバナンスの話ですけれども、オリンピックの推進体制は11ページの右の図のようになっています。左は普通の会社のイメージです。オリンピックはOrganizing committee、組織委員会が中心になって大会を運営する仕組みになっています。組織委員会にはJOCと東京都が出資をしていて、この組織委員会とJOCと東京都、それからIOCですね、この4者で契約を結んで、それでオリンピックは進めるという体制になっています。 問題は3兆円の予算を誰が見るのかということですが、組織委員会は収入がそもそも5000億円であって、3兆円全体に関して責任が持てない。東京都は自分の施設をつくるということになっていますが、残りの分については直接自分でコントロールができない。JOCは実際のオペレーションにはあまり関わらない。日本国政府は警備だとか、実際の人員を出したりということで協力をしますが契約には参加していない。こういう構造ですので、結局全体、トータルを誰が管理するのかということがあまりはっきりしていないと。 一番上にCoordination committee、調整会議というのがありますが、ここには議長がいない。そしてみんなで話し合いながら決めていくという仕組みになっていますので、結局、実際に現場で作業をする、準備の作業は非常にうまく進んでいますけれども、全体の予算がどうあるべきかということであるとか、あるいは何を優先するのかということについて決める、企業で言うと左の図にあるCEOの役割だとか、あるいはCFOの役割というものがきっちりと決まっていないと。ここにわれわれは危惧を覚えたわけです。 9月の末のレポートで最後に問題提起したのは、こういうストラクチャーの場合は情報交換が必要じゃないかと。全ての人がコストの情報、それからプランの細かい情報を全部見ることによって、ほかの組織と自主的に調整していくと。それから、都民や国民に対してもオリンピックの準備がどういう方向になっているのか、何が変わっているのか、何ができているのかということをフルに情報公開していかないと、有能なCEOとCFOに任せたという体制にはなっていないわけですから、ガバナンスが特殊な場合には情報公開をする必要がある。しかし、それがあまりできていないと。これが本質的な問題だというふうに問題提起をしました。