妻と2人の娘がいる40歳の会社員。「手取り30万円」ですが、住宅ローンの返済などで消えていき、貯金がまったくできていません。40歳で「貯蓄ゼロ」の家庭はめずらしいでしょうか…?
教育費、住宅費、老後生活費は人生の三大支出といわれます。40歳代の人はこれらが重なりやすい時期にあり、子どもを育てながら持ち家を購入して住宅ローンを返済していると、貯蓄まで手が回らず、「ほかの家庭に比べて老後の備えができていないのでは?」と心配している人は多いかもしれません。 本記事では、世帯主が40歳代である家庭における貯蓄額の状況や、40歳から老後に備えて貯蓄を始めた場合に、どの程度の資産を用意できるのかについて解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
世帯主が40歳代である家庭の26.8%が「貯蓄0円」
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」の2023年の結果によると、世帯主が40歳代の家庭における貯蓄額の状況は図表1の通りです。貯蓄0円の家庭は26.8%と、約4世帯に1世帯の割合で、決して珍しいことではありません。 図表1
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年) を基に筆者作成
手取り30万円では毎月の支出の後、貯蓄まで行うことは難しい
世帯主が40歳代の家庭は、手取り30万円で貯蓄できるのでしょうか。総務省統計局が実施した家計調査の2024年8月の結果によると、40~44歳の住居費を除く1ヶ月あたりの平均的な支出額は図表2の通りです。家庭環境や生活水準にもよりますが、これに加えて住宅ローンまで支払うと、月々の手取り額の範囲で貯蓄することは難しいと考えられます。 図表2
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2024年8月を基に筆者作成
40歳から貯蓄を始めれば65歳までに2000万円以上になる可能性も
月々の貯蓄が難しいものの、このまま貯蓄0円では老後の生活が不安に感じられるでしょう。ボーナスや児童手当などを貯蓄に回す、副業や、配偶者が仕事を始めるなどして収入を増やす、節約して支出を抑えるなどによって、まずは貯蓄できる収支バランスを整えましょう。 そこでなんとか余剰のお金(2~4万円)を生み出し、それを元本として、40歳から65歳まで25年間運用した場合、運用利回りを年率5%で計算した結果は次の通りです。 ●月2万円の場合:元本600万円+運用益591万円=1191万円 ●月3万円の場合:元本900万円+運用益887万円=1787万円 ●月4万円の場合:元本1200万円+運用益1182万円=2382万円 40歳からでも2000万円以上の資産を作れる可能性があります。