生成AI活用に格差、大手企業と中小企業で最大5倍
情報通信総合研究所は11月14日、企業における生成AI導入状況に関するアンケート調査の結果を発表した。 【もっと写真を見る】
情報通信総合研究所は11月14日、企業における生成AI導入状況に関するアンケート調査の結果を発表。企業規模によるAI活用の格差が浮き彫りになる結果となった。調査は2024年8月29日から9月6日にかけて実施され、全国の就業者11万2021名からの回答を基にしている。 大企業では導入が進んでいるが 調査結果によると、従業員1000人以上の大企業では全体の30.6%の企業で生成AIの導入が進められている一方、従業員1000人未満の中小企業の導入・利用率は最大でも21.8%に留まっている。特に従業員50人未満の企業の導入・利用率は6.1~7.9%と極端に低く、大企業とは最大5倍もの差がある状況だ。 業種別の導入率については、情報通信業が35.1%でトップ。次いで金融業・保険業(29.0%)、電気・ガス・熱供給・水道業(24.1%)の順に導入率が高い。反対に導入率が低いのは医療・福祉関連(6.6%)や宿泊・飲食サービス業(8.6%)、運輸・郵便業(9.4%)など。因果関係は不明だが、一般に人手不足とされる業種ほど、生成AIの導入が進んでいないようだ。 知識や情報共有の不足も課題に 視点を変えて、生成AIを利用するなかで感じた課題を尋ねる項目では、「活用ノウハウや知識の不足」を挙げる回答が54.0%で最も多く、次いで「正確性が確認できない、または確認に時間を要する」(50.1%)、「著作権侵害などのリスク」(35.5%)となっている。 また、生成AIの利用をさらに進める上での改善点に関する質問では、「社内事例/ユースケースの共有」「プロンプト/テンプレートの共有」「社内教育/研修の実施」など、人間同士の情報共有に関わる内容が上位を独占。生成AIを導入したものの、運用に関する知識の習得や、効率よく使うためのノウハウの共有が不十分な現場が少なくないようだ。 情報通信総合研究所は今回の調査から、企業向けの生成AIはまだ普及拡大の余地が大きいとした上で、政府が中小企業やサービス業など、導入率が低い企業に対して導入を後押しする必要があると結論づけている。 文● @sumire_kon