意外に知らないゴルフルール。”プレーヤーは自分のスタート時間より早くスタートしてはならない”
全英オープンのスタート風景をテレビ中継などで観ていると、まず選手が紹介され観客は拍手で迎える。そして、前の組がセカンドショットを終えてフェァウェイが空くのを待つのだが、もう打てる状況になっても選手はすぐには打たない。スターターを務める委員が、「スタート時間になりました。スタートしてください」と合図を告げたら、直ちにルーティンに入って打つ。その合図の前に打ってしまっては、2打罰となるのだから、当然だ。 ただ、これはあくまでもプロやアマチュアの公式競技でのスタート時間に関する規則と考えていいだろう。一般ゴルファーが遊びのラウンドで、早めにスタートしたからといって何の問題もなく、むしろ推奨されるぐらいなのは前述のとおりだ。 実際、クラブ競技などでも、競技委員は「前の組との距離を自分で判断し、打てる状況になったらスタートして結構です」と、安全だけは自分で判断して随時スタートするように指示することがほとんどだ。だから、スタート時間のルールで罰打を科せられる現場を、コースではほとんど見たことがない。
スタート時間の何分前に到着すべきか?
スタート時間のルールに抵触するのは、大抵の場合は遅刻によるものだ。スタート時間に間に合わず、つまり5分未満の遅れでティーオフすることができず、失格となる事例は、プロでも時折起こる。 車の故障や事故などによる渋滞で、スタート時間に間に合わないことは、往々にして起こり得ることだ。よって、充分に余裕をもって家を出発することも、大事なマナーといえる。 では、スタート時間の何分前に到着するようにすべきか? コースのホームページには、スタート時間の30分前には来場するようにと書かれていたりするが、これは、必要最低限の準備でスタート時間に間に合うという、ギリギリの到着時間だ。到着してチェックインし、ロッカールームでシューズを履き替え、トイレを済ませて駆けつけて、やっとスタート時間の10分前にティイングエリアに付けるかどうかだろう。 これでは、あまりにも余裕がなく、心理的にも焦った状況でティーショットするハメになるから、大概はミスショットになるものだ。パッティング用の練習グリーンで、その日のグリーンの速さを確認するだけでもよいので、スタートの1時間前には到着したいところだ。 もう少し、その日のラウンドを大事にするなら、一箱ぐらいはドライビングレンジで球打ち練習もしたいところだ。それならば、更に30分追加して、スタート時間の1時間30分前に到着すべきだろう。 更に、予期せぬ渋滞などを考えると、保険を掛けてスタート時間の2時間前を到着時間として考えることが、同伴者に迷惑を掛けない配慮となる。関西のドン、杉原輝雄プロも2時間前にコースへ着くことを推奨していた。 早くコースへ到着し過ぎても、ドライビングレンジや練習グリーンで、家ではできない練習ができるのだから、コスパがよくなるだけだ。もし事故渋滞などがあっても、それらの練習時間が削られるだけで、コンペの幹事さんや同伴プレーヤーをやきもきさせることもない。 ゴルフマナーというものは、コースでのプレー中のマナーに注目が行きがちだが、このように家を出るときから始まっているものなのだ。 参考資料: 公益財団法人 日本ゴルフ協会『ゴルフ規則 2023年1月施行』ゴルフダイジェスト社、2023年1月1日 日本ゴルフ協会「ゴルフ規則よくある質問 (規則5.3a)」Facebook、2020年4月16日