令和の虎で元ホスト・桑田龍征は借金80万円から、いかにして年商30億円を築いたのか?
◆YouTubeはマネタイズしなければ何の意味もない
水野:一方でYouTubeでの活躍も目立ちます。ここ数年で、令和の虎出演により一気に知名度が上がりました。YouTube自体はいつからされていたんですか? 桑田:ホストクラブの経営者ということで、「ドラゴンPM」というチャンネルを2015年からスタートしていたのですが、これが今一つウケなかったんですよ。今となって思えば内輪ウケになっていたのかもしれません。ただ、「やる」と決めたことなので継続してチャンスは伺っていましたね。 水野:令和の虎出演はどんなことがきっかけだったのですか? 桑田:きっかけは武田塾のオーナー取材で、白羽の矢が私に立ったことです。そのご縁で、林さんや岩井さんに「マネーの虎のYouTube版をやりませんか?」と提案したところ、取り上げてくださって、形になりました。 岩井さん、林さんらと共に始めた令和の虎でしたが、最初は志願者が全然来なくて焦りましたね。3~4年は低空飛行が続きましたが、2022年初頭に火がついて、そこからぐっと知名度が上がった感覚があります。 水野:一気に桑田さんの名前が知られるようになり、それに伴ってご自身の事業の売上も上がっていったのでしょうか? 桑田:いえ、それが全然比例していかなかったんです。「どうしたものかな」と考えているとき、縁あってユーチューバーのヒカルさんと同居することになり、自分もヒカルさんのチャンネルに登場することが多くなりました。 彼はまさにタレントで、撮影が始まれば24時間カメラは回りっぱなし。「この環境をビジネスに活かせないか」を考え、始めたのが「通販の虎」だったのです。虎たちが認めた商品だけを販売する、というルールで始めた物販サイトは知名度の上昇もあって多くの話題を呼び、動画からマネタイズの動線ができました。 水野:YouTubeを始めても続かない大きな原因が「マネタイズできない」ことにあると言われますが、通販の虎はYouTubeとのかけ算で成功した事例ですね。 桑田:まさにそうです。実際、YouTubeの収益は毎月200万~500万円くらいあるのですが、それも編集代などで大部分が消えていきます。だからこそ、ビジネスにYouTubeをどう生かすか? その発想にならないとYouTube単体で継続していくことは難しいと思います。 水野:なるほど。では、経営者がこれからYouTubeを始める場合、まず何から始めるとよいでしょうか? 桑田:2つあります。1つは圧倒的に「経営者の自己紹介をする」ことですね。求職者が履歴書を書くように、経営者もまた「人となり」を出すべきだと思っています。 これはホスト時代の経験が活きているのですが、ホストってまず売れるために、「自分はどんな長所があるのか」というのを徹底的に突き詰めるんですよ。その長所を伸ばすことが他者との差別化になり、結果「あなたを指名したい」といって売上につながるんです。 経営者も同じですよね。自己紹介をしていくことで「自分しかできない強み」を知り、そしてそのことを視聴者に知ってもらう。信頼を得る。それが高まり、自分のブランドになっていきます。そうすれば、商品やサービスの広告を打たなくても自然に集客できるようになります。広告費をかけるなんて、SNSをサボった経営者への“罰金”である、とすら考えています。経営者は「自己紹介」の動画をつくる、一択です。 それができたら、考えてほしいのが自分の好きなことをYouTubeに反映させていくことですね。現在、東京都リーグ2部に所属する「シュワーボ東京」のスポンサーをさせていただいていますが、監督を務めているレオザさんは戦術分析が評価され、現役選手はもちろん、日本代表の選手も見て参考にしているほどです。 サッカーチャンネルで突き抜けたレオザフットボールさんもトップユーチューバーのヒカルさんも、自分の好きなことをやり続けてビジネスにつなげています。やっぱり「好き」というパワーは何物にも勝るのではないでしょうか。