令和の虎で元ホスト・桑田龍征は借金80万円から、いかにして年商30億円を築いたのか?
◆起業したジャンルが「ホスト」だっただけ
水野:そんな順風満帆なホスト生活を2年半で引退、経営者の道に進まれます。どんな背景があったのですか? 桑田:そもそもホストは借金返済が目的で、長く続ける気はありませんでした。しかも当時は柄の悪いホストも多く、売上で妬まれて暴力を振るわれたり、店の中で物や金がなくなったりするのは日常茶飯事でした。 また、良いキャストは他店にどんどん引き抜かれ、モノもカネもヒトも奪い合う歌舞伎町に辟易していた部分もあったんです。だけど、この世界の魅力も十二分にわかっていました。だからこそ、自分を育ててくれた歌舞伎町で成功したい。 そうして考えついた先が、ホストクラブの経営でした。培ってきた経験とノウハウを注入すれば必ずうまくいく、という確信もありましたしね。原資が貯まったタイミングで、経営者としての一歩を踏み出しました。 水野:これまでの「ベテランホストが経営者になる」という慣例を覆し、大学生で、なおかつ経営者マインドを持ってホスト業界に打って出たところに、桑田さんらしさを感じます。 桑田:そうかもしれませんね。ただ、大学4年で初のホストクラブ「LEVEL2」を出店、それから2年足らずでNEW GENERATION GROUPを立ち上げることができましたが、グループ化当初は波乱続きでした。 水野:そうだったのですね。うまくいかない理由は何だったのですか? 桑田:理念やビジョンも固まっていなかったので、「絶対にここで働きたい」という人が全然いなかったからですね。お金や人のトラブルも増え、「このグループが嫌いなら辞めてくれ」と言ったら、本当に辞めてしまったホストも多くいました。その結果、2店舗潰しましたし、育て上げた幹部も失いました。 グループを立て直すにあたり、残った人間で真剣に話し合いました。その結果、「ビジョンや理念を理解、共感してくれる人のみ採用する」「理念浸透のため、コーチング研修をしっかり行う」「Webマーケティング、YouTube戦略を立て、実行する」、そしてなにより「売上に貢献する人がきちんと評価される報酬設計にする」という方向性が決まり、やり切りました。 その結果、強固な組織をつくり上げることができたのだと、今では失敗にも感謝しています。