パリ「銀」村尾三四郎がGS東京連覇…五輪直後に練習再開、「旅行に行ったら」と言われても「強くなるにはやるしかない」
柔道・グランドスラム東京最終日(8日・東京体育館)――日本勢が7階級のうち6階級で優勝。男子90キロ級決勝は昨年と同じ顔合わせとなり、パリ五輪銀メダルの村尾三四郎(JESグループ)がルカ・マイスラゼ(ジョージア)に延長戦の末、優勢勝ちし大会2連覇を達成。日本人同士の決勝となった同100キロ超級は中野寛太(旭化成)が太田彪雅(同)を破った。同81キロ級は藤原崇太郎(同)が制し、女子78キロ超級は新井万央(まお)(日体大)が2年連続優勝。
延長戦で技あり「チャンスをものにできた」
今大会に出場したパリ五輪日本代表は3人。練習の再開は前日試合があった永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)と橋本壮市(パーク24)が10月だったのに対し、村尾は五輪からまだ日も浅い8月中だった。「銀メダルだったからこそ早く戦いの場に戻りたかった」。保ち続けた心技体を、東京の畳の上で表現した。
決勝の相手は、昨年と同じジョージアのマイスラゼ。果敢に仕掛けてくる技を冷静にかわしながら、迎えた延長だった。「我慢強く、最後にチャンスをものにできた」。相手の足技を防いだ直後、小外刈りで技ありを奪い、2年連続でこの大会の頂点に立った。
五輪後、先輩から「旅行にでも行ったら」と勧められても休まなかった。激闘の疲れが残る中での敗因分析や稽古は、地道で過酷な作業。今大会の出場と優勝に「強くなるにはやるしかないと言い聞かせた。柔道と自分から逃げずに向き合い続けたことを評価したい」とうなずいた。
マイスラゼは、パリ五輪決勝で敗れたラシャ・ベカウリとジョージア代表を争うライバルでもある。「パリでの負けがあったからロサンゼルスで金を取れたと言えるように、僕はやっていく」。4年後のリベンジへ、決意の一歩を踏み出した。(福井浩介)
藤原、金メダリストの「背中追いかける」
男子81キロ級を制した藤原は決勝を鮮やかな支え釣り込み足で一本勝ちしたものの、「結果には満足しているけど、内容は満足していない」と気を引き締めた。2018年の世界選手権で2位に入った実力者も膝のけがの影響で今年実戦に復帰したばかり。ロサンゼルス五輪に向けては同じ所属のパリ五輪金メダリスト永瀬貴規を追う位置にいるが、「まだ争える立場じゃない。背中を追いかけたい」と浮かれる様子はなかった。