「高捜庁ではなく“空捜庁”」 「次失敗したら廃止」 なかなか尹大統領を逮捕できない韓国捜査当局に世間から「無能」と批判が殺到
ところが、警察はすぐに「法的に問題がある」としてこれを拒否。警察側からは、「しんどいことは警察に押しつけて、高捜庁は捜査だけをするというのか」「警察は高捜庁からの下達を受ける立場ではない」という不満が爆発した。警察との事前協議もなかったという、高捜庁の右往左往ぶりに野党や世論からも「無能」という批判が殺到した。 オ高捜庁長が不退転の覚悟を語ったのは7日、韓国国会で開かれた法制司法委員会の質疑の場だった。
「撃たれても拘束してきなさい。それが、国民が望んでいることだ」「(次の拘束に)失敗したら(高捜庁を)廃止しますよ」 野党議員は脅しともとれるような集中砲火を浴びせ、チョン・チョンレ委員長に至っては、「圧倒的に鎮圧すべき。今回は失敗してはいけないということ」と迫った。メディアに映し出されたその様子は、国会というよりは、さながら捜査司令部のようだった。 野党はなぜここまで尹大統領の拘束にこだわるのか。尹大統領側が、裁判所が発布した令状である以上、執行に応じるべきだろうが、憲法裁判所で弾劾訴追の結果が出た後でも捜査は遅くない。野党がことを急ぐ背景には次期大統領選挙に向けた時間との戦いがある。
今のところ、次期大統領として有力視されているのは共に民主党の李在明代表だ。しかし、李代表には時間がない。 現在、李代表をめぐっては5つの裁判が進行しており、なかでも公職選挙法違反では昨年11月、一審で懲役1年執行猶予2年の判決が出た。このままいけば5月には最高裁まで進むはずで、そこで実刑が決定すれば、議員職の資格を失い、被選挙権は剥奪され、大統領選挙への出馬資格がなくなる。 控訴審の審理は今月23日から始まる予定で、ここで有罪判決が出れば、野党内部でも”李下ろし”が浮上する可能性もある。野党、特に李代表派は、尹大統領が拘束されることにより与党へ打撃を与えられるうえ、弾劾訴追裁判の結果は早ければ早いほどいい。