京都の名庭園でニトリが貴重な建物を公開へ 取得から14年、似鳥昭雄会長「第二の故郷での使命」
名勝「對龍山荘(たいりゅうさんそう)庭園」(京都市左京区)を所有する家具大手ニトリホールディングス(札幌市)は、重要文化財指定を受けた園内の建物を来春から一般公開し、美術品の展示も始めると発表した。社内利用してきた方針を転換して開放し、建築や美術作品を楽しんでもらう。 【写真】公開への思いを語る似鳥会長 明治期の京都を代表する別荘庭園で、約6千平方メートルの敷地に配された滝や池が借景の東山と調和する。薩摩藩出身の実業家から譲り受けた近江商人の市田弥一郎が近代日本庭園の先駆者と呼ばれた7代目小川治兵衛に作庭を依頼し、1905年に完成した。 ニトリは2010年に同庭園を取得。会社の迎賓施設として利用してきたが、今夏に書院や茶室からなる主屋など建物4棟が重文指定を受けたのを機に、10月から不定期で屋外の庭に限り一般公開を始めた。 同日、庭園内で記者会見した似鳥昭雄会長は「美しい庭園と建築を国内外の人に見てもらうのが使命と考えた。京都は第二の故郷として愛着があり、京都市内の美術館とも交流を深めたい」と述べた。 展示する美術品は、ニトリが運営する北海道小樽市の美術館4館で所蔵する浮世絵やガラス細工、陶器など約3千点から選び、季節ごとに入れ替える予定。入園料2千円。公開は不定期のため、同庭園ホームページで確認が必要。