日本の自動車株は中国競合を抜き去るか、再編と統治改革がエンジンに
(ブルームバーグ): 2025年の日本の自動車株は、業界再編とコーポレートガバナンス(企業統治)改革をエンジンに中国の競合メーカーを抜き去り、復活ロードを突き進む可能性がある。
国内自動車業界では昨年末にかけ、大型の合併や買収(M&A)の動きが相次いだ。ホンダと日産自動車は26年に共同持ち株会社を設立する方向で検討に入ると発表。車載用を含む世界的なモーターメーカーのニデックは、工作機械メーカーの牧野フライス製作所の株式を公開買い付け(TOB)で取得する。TOBは4月から開始し、買い付け代金は2500億円強だ。
トヨタ自動車を巡っては、株主資本利益率(ROE)を20%程度に引き上げると日本経済新聞が報じたことをきっかけにガバナンス改革への期待が広がり、株価は昨年7月以来となる3000円台を回復した。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、トヨタを中心に日本の自動車業界は挽回できる底力があると指摘。「内部的な経営の自助努力的な部分でどこまでやっていけるかがポイント」だとみている。
ブルームバーグが算出し、アジア太平洋の自動車株の値動きを示すBI AP自動車受託製造株-本業の24年のパフォーマンスを見ると、上昇率上位10社のうち7社が中国企業。1位の安徽江淮汽車が2.3倍となった半面、日本で最上位のトヨタは21%高にとどまった。
欧米やアジアなど世界各国に輸出する日本の自動車株は国内でも相対的に見劣りし、東証33業種の輸送用機器指数の24年の上昇率は15%と東証株価指数(TOPIX)の18%を下回った。海外製品に高率関税をかける意向のトランプ次期米大統領の通商政策に加え、内外金融政策の方向性の違いを背景とした為替の円高進行リスクに投資家が警戒心をほどかないためだ。
トランプ氏の関税計画の概要は、20日の大統領就任式間近になっても不透明なままだ。米紙ワシントン・ポストは6日、側近らが重要な輸入品のみを関税の導入対象にすることを検討していると報じたが、同氏は自身のソーシャルメディアへの投稿で否定した。