西日本指折りのラーメン激戦県、京都。ラーメン官僚が今推す背脂醤油、担々麺、冷めん
湯豆腐やゆば料理、おばんざい……伝統料理のイメージが強い京都だが、実はラーメン激戦県でもある。 【写真14点】「西日本でも指折りのラーメン激戦区、京都市」の詳細を写真でチェック
数多ある名店の中から、ラーメン官僚がバラエティに富んだ優良ラーメン店を紹介!
西日本でも屈指のラーメン激戦区、京都
今回は、京都市のラーメン事情とおすすめ店を紹介する。まず、京都市のラーメン事情を簡単に説明させていただきたい。 結論から先に申し上げると、京都市は、西日本の中でも指折りのラーメン激戦エリアだ。京都市には、確かに日本料理店など、いわゆる「京都らしい」お食事処もたくさん存在する。が、ラーメン店の数も、それに勝るとも劣らないほど多い。 京都市にラーメン専門店が誕生したのは、戦前にまで遡る。1938年(昭和13年)、浙江省から来日した徐永俤氏が京都駅前の屋台営業からスタートした「新福菜館」が、同市におけるラーメン店の草分けだと言われている。 その「新福菜館」の登場以降、京都市は、「本家第一旭(1947年創業)」「ますたに(1948年創業)」「天天有(1971年創業)」「ラーメン藤(1972年創業)」など、錚々たる名店を輩出してきた。 例えば、今では全国に店舗を展開し、誰もがその名を知る「天下一品」も、京都市の生まれだ。具体的には、1971年、銀閣寺周辺での屋台営業からスタートし、1975年、北白川の地に第1号店(現・総本店)を開業。その後の「天下一品」の動向は、ご承知のとおり。同店は、1980年代以降、フランチャイズ展開を積極的に進め、2024年10月現在、国内外に計212店舗を構える一大チェーン店へと成長を遂げている。
と、このように京都市は、「新福菜館」の誕生から現在にいたるまでの間に、多数の名店・実力店を輩出してきたが、ここで、同市のラーメンの特徴をお伝えしておきたい。 京都市のラーメンの主流は、「あっさり」「薄味」といった言葉で形容されるものではない。むしろ、鶏・豚等の動物系素材をベースとしたコッテリ濃厚な1杯が、メインストリームを占めてきた。具体的には、以下の3タイプが、オーソドックスな京都ラーメンだとされている。 1. 鶏ガラ・豚骨ベースの出汁に濃口醤油ダレを合わせたラーメン(「新福菜館」など) 2. 鶏ガラベースのスープに豚の背脂を乗せたラーメン(「ますたに」など) 3. 鶏ガラと香味野菜を白濁するまで炊き上げたラーメン(「天下一品」など) それは、京都市が人口の約1割に相当する学生数を抱える、全国の大都市の中で学生比率が最も高い「学生のまち」であることと無関係ではないだろう。一般的に、学生は金銭的な余裕がなく、かつ食欲が旺盛。必然的に、安価で食べ応えがある食べ物が好まれることになる。そのニーズに見事に合致したのが、濃厚ラーメンだったのだ。 以上、ここまでに述べた話を要約すると、同市は戦前から多くの実力店を輩出してきたラーメン激戦エリアで、提供されるラーメンの主流は、動物系ベースの濃厚タイプということになる。