〈わいせつ保育士に懲役14年判決〉ネットは「男性保育士いらない」の声…それでも現場が「必要」とする理由とは
お漏らし対応、着替えも男性保育士が
厚生労働省が公表している資料「保育士の現状と主な取組」によれば、2020年の保育士の男女比率は男性が約4%、女性は約96%だった。5年ごとの調査を見ると、2010年は男性保育士の割合は約2%。2000年は約1%だったので、男性保育士は少ないが増えていることがわかる。 保育士歴およそ30年の女性保育士に、男性保育士の良いところ、悪いところについて聞いた。 この女性保育士が仕事を始めた頃、少しずつ男性保育士が現れ始めたという。 「同期が全部で30数人あまりいる中、5人ぐらいは男性だったかな。気にするお母さんから、男性保育士におむつを替えてほしくないとか、着替えのときは男の先生は嫌だっていう声はあがっていました。でも実際は、男性も女性も同じ仕事をしていましたよ。 『男性だからこれはやらなくていい』ということはないです。トイレも連れていくし、園児がお漏らししたら、すぐ対応する。保育は待ったなしですから。男性保育士は嫌だとか、そういう声があがると、男性保育士が気の毒です。『僕は行けません』とか言われても、私たちも困りますしね。 私の身近に男性保育士の事件はなかったので、性犯罪を目的にして職場に入ってくる人がどういう感じなのかはわかりません。周りにいた男性保育士は、ちょっと変わっていたけれど子どものことを一番に考えていたと思います」
人柄や個人の性格が大事
保護者に警戒されがちな男性保育士の中には、子どもに人気がある人もいる。 「アクティブに遊んでくれたり、運動遊びなどは活発で助かる。抱っこするにも、腕にぶら下げて遊ぶにも、男性は力があるので。 ただ、男性保育士はみんな人気があるかっていうと、そういうわけではない。性別よりも、大事なのは人柄です」 昨年、大手学習塾「四谷大塚」で起こった講師による盗撮事件は、保護者たちに大きな衝撃を与えた。 その他、学童保育やベビーシッターなど、子どもに関わる場での性犯罪の報道は後を絶たず、かといって、利用しないと生活が成り立たない家庭もある。日本版DBSの導入も予定されているが、表に出ていないケースもあり、万全な体制ではないのが現状だ。 「結局、『そういう男性保育士を採用したのが悪い』という話になると思います。採用のときに見極められたらいいですが、それは難しい。面接しただけで、わかるのでしょうか? ただ、男性保育士が排除されるようになれば、男性保育士は萎縮する。誠実に仕事と向き合う男性保育士だっているのに、犯罪が多いと、そういう目で見られてしまう。『男性保育士は大丈夫?』みたいになると、働きづらいだろう、気の毒だなって思うこともあります」