本田圭佑が問題視「指導者ライセンス意味ない」は本当か?「日本のライセンス授業とは違う」“世界最難関”イングランド監督ライセンスを持つ初の日本人が証言
ベルギー1部・シントトロイデンでアカデミー部門責任者を務める高野剛さんのインタビュー。アジア人として初めてイングランドサッカー協会公認プロライセンスを取得した高野さんに“S級ライセンス問題”について聞いた。【全2回の後編/前編も公開中】 【写真】「Jリーグをスルー、海外流出した」“高校サッカーの天才たち”がこんなにも…写真ですべて見る ◆◆◆ 指導者のS級ライセンス(プロライセンス)に意味はあるのか? ライセンス撤廃を提唱する本田圭佑だけでなく、多くの関係者が疑問に感じているテーマだろう。 日本サッカー協会が主催するS級コーチ養成講習会を受けられるのは毎年約20人のみ。講習会トライアルに合格した人間しか受講できない仕組みになっている。「指導者界における運転免許のようなもの」という見方もあるが、運転免許試験と違って希望者が全員受けられるわけではないのだ。 協会による絞り込みによって、個性的な人材が入口でふるいにかけられてしまっている可能性がある。 ただし、受講人数が限られているのは日本だけではない。 ヨーロッパの主要各国でもプロライセンスを受講できる人数は限られており、日本と同じように若手を中心に不満の声がある。
「24人しか受けられない」イングランドのライセンス
いったい人数を絞ってまで行う講義とは、どんな内容なのだろうか? ベルギー1部・シントトロイデンでアカデミー責任者を務める高野剛は、2018年にアジア人として初めてイングランドサッカー協会公認プロライセンスを取得した。 高野は現在もイングランドサッカー協会のプロライセンス講座にゲストスピーカーとして呼ばれており、日本で最もカリキュラムに詳しい専門家と言っていいだろう。 高野はこう解説する。 「イングランドサッカー協会のプロライセンス講座の定員は24人ほど。僕のときは450人が応募し、かなりの倍率でした。それでも僕が入れたのは、イングランドサッカー協会に『時代の最先端に立つべき』という考えがあるからです。 受講者をイギリス人に限定したら国際化の波から遅れると考え、のちにドルトムントの監督に就任するドイツ出身のエディン・テルジッチ、マンチェスター・ユナイテッドでキャプテンを務めたセルビア出身のネマニャ・ヴィディッチ、そしてアジア出身としてサウサンプトンでコーチの経験があった僕が選ばれました。 イギリス出身の受講者は、ブライトンやチェルシーを率いたグレアム・ポッターや元マンチェスター・ユナイテッドのニッキー・バットなど。この24人に入れたのは本当に幸運でした」
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