風呂やサウナと健康について考える「浴なび」

　多くの温泉地では街なかに「足湯」があり、家族連れや友人同士で足をお湯に浸しながら、おしゃべりしている姿をよく見かけます。靴を脱ぐだけという気軽さと、のぼせにくく、長く楽しめるのが魅力です。 【図と写真】能登半島地震で被災者の疲れを癒やした自衛隊のお風呂　のれんに注目

能登半島地震被災地での足湯ボランティア（CODE提供）

　そんな足湯は、今年1月に起きた能登半島地震の災害ボランティアでも活用されています。全国の大学生らで構成する「やさしや足湯隊」はこれまでに計16回、石川県内の被災地に入り、高齢者ら延べ200人以上が足湯を楽しみました。 　学生たちの活動は、避難所や仮設住宅に設けられた集会所などの共有スペースで、活動内容はお湯を張ったバケツやたらいに10～15分ほど足を浸してもらい、手をマッサージしながら一人ひとりの話に耳を傾けるというもの。その際、笑顔であいさつする▽水分補給のためにコップ1杯の水を飲んでもらう▽無理に話を聞き出さない――ことを徹底しているそうです。

　体の末端部が温まり、血流がよくなることによる健康効果に加え、ボランティアとふれあうことで気持ちがほぐれ、思い出話や避難生活での困りごとなど、胸の内をぽつりぽつりと話すことが心のケアにもつながります。こうしたつぶやきに耳を傾け、まとめることは、被災地のニーズ掘り起こしに役立つことも多いそうです。 　足湯ボランティアは1995年の阪神大震災の時に始まったといい、その後、大規模な災害の度に少しずつ広まりました。阪神の際は5年ほど活動が続きました。 　今回の足湯隊は、ともに神戸市に拠点を置く「被災地NGO協働センター」と「CODE海外災害援助市民センター」が運営しています。 　足湯隊のリーダーを務めるCODEの山村太一さん（23）は「孫みたいな存在で楽しみにしている高齢者も多いです。長期的に必要とされ、やりがいがあります。がれき運び以外のボランティアも知ってほしいです」と話しています。（竹井陽平）