ニッケル水素電池、FDKが東南アジアで生産する狙い
FDKは東南アジアでニッケル水素電池の生産を始める。市場拡大が見込まれるインドでの車載向けニッケル水素電池の需要を取り込むほか、中国での生産の一部を東南アジアに移管することも検討しており、顧客からの要求が高い調達先の多様化に応じる。東南アジアではニッケル水素電池の後工程であるパック工程を担う。現地の企業と提携・生産を委託し、2025年度内に量産を始める計画。 【写真】FDKのニッケル水素電池 東南アジアでニッケル水素電池を生産するのはFDKにとって初めて。中国のほか、トランプ次期米大統領による関税の強化を見据え、メキシコからの移管も検討する。顧客の要望や地政学リスクを勘案し、どの拠点から、どの程度の生産量を移管するかなどの詳細は今後、詰める。 長野良社長は「(東南アジアの提携工場での)ラインは立ち上げ始めたばかり。4M(人・機械・材料・方法)の変更になるため、顧客に対してもこれから説明する」という。まずインド市場に出荷する計画。現地の自動車メーカーからの需要を見込む。提携工場の所在地や生産量などは非公表。 FDKのニッケル水素電池は、車両緊急情報システム「eCall(イーコール)」などで使われる。欧州ではイーコールの新車への装備が義務化されたことを背景に、欧州自動車メーカーでのニッケル水素電池の採用が進んでいる。グローバルで引き合いが増える中、FDKは東南アジアでの供給体制を整えるほか、使用可能な温度範囲を広げたニッケル水素電池の開発に取り組むなど力を入れる。