フランス下院選挙:極右政党の「財源なき歳出拡大」への懸念
左派連合「新人民戦線(NFP)」の財政リスクにも警戒
他方、金融市場では、左派連合の新人民戦線(NFP)の財政リスクにも関心が集まっている。新人民戦線(NFP)は今年の公務員給与の10%引き上げ、定年退職年齢の64歳から60歳への引き下げといった政策を掲げており、歳出を段階的に増やして、2027年まで年間1,500億ユーロ(1604億4,000万ドル)を上乗せする意向を示している。その財源については、相続・富裕層・多国籍企業に対する増税で完全に賄うと説明している。 国民連合(RN)が決選投票で絶対過半数を獲得しないとしても、財政面でのリスクを意識した金融市場の不安定な動きは続きそうだ。 (参考資料) "Why the Far Right Is No Longer an Existential Threat to Europe(極右政党、もはや欧州存亡の脅威にあらず)", Wall Street Journal, June 25, 2024 「左派躍進を市場は警戒、フランス下院選 極右より高い財政リスク」、2024年6月27日、ロイター通信ニュース 「仏下院選、有権者は極右の経済政策を支持 FT世論調査」、2024年6月25日、NIKKEI FT the World 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英