「特定利用空港」指定へ 自衛隊、海保の円滑利用、和歌山・白浜空港
防衛力強化の一環として自衛隊や海上保安庁の利用を想定する「特定利用空港」に、和歌山県白浜町の南紀白浜空港が指定されることになった。岸本周平知事は8日の定例記者会見で、国から合意の依頼があったと明らかにした上で、受け入れる考えを示した。指定は3月ごろの見通し。 【さあ仕事始め 知事「オール県庁で滑走路延伸を」、和歌山県内の官公庁や企業の記事はこちら】 「国家安全保障戦略」に基づく「特定利用空港・港湾」で、安全保障対応のため、自衛隊、海上保安庁が円滑に利用できるようにする目的。民間の利用に配慮しながら、訓練のほか、災害時の救援部隊派遣、弾道ミサイル対処、自衛隊や海上保安庁の航空機・船舶のトラブルなどで利用できる。武力攻撃やそれが予測される事態は除く。 制度は昨年4月に始まった。特定利用空港は現時点で、九州・沖縄の8カ所、港湾は全国20カ所を指定している。 昨年12月24日、政府から県に指定の申し入れがあった。県は白浜町にも意見を聞いた上で、1月8日付で合意する旨を回答した。 岸本知事は会見で、合意の狙いは防災力の強化だと説明し「自衛隊や海上保安庁との連携をさらに深めるチャンス」と強調。南海トラフ地震など大規模災害発生時の迅速な避難や救援部隊の効率的な派遣などが可能になるとした。また、県が空港活性化を目的に調査に着手している滑走路延伸事業についても「総合的にはプラスになるだろう」と促進に期待を寄せた。 一方で、防衛力強化の一環であるため、他国からの攻撃対象になる懸念もある。岸本知事は「合理的に考えると自衛隊や米軍の基地がまず対象になる。特定利用空港になっても、自衛隊機が常駐しているわけでもないので、武力攻撃の対象になる蓋然(がいぜん)性は非常に低いと考える」と説明。「(特定利用空港は)必ずしも武力攻撃のようなものを想定しているわけではない。誤解がないようにくれぐれも県民の皆さまには丁寧に説明していきたい」と話した。
紀伊民報