なぜ2年連続両リーグMVP満票決着? 背景に3つの要素
ドジャースの大谷翔平投手(30)が21日(日本時間22日)、ナ・リーグMVPに選ばれた。エンゼルス時代にア・リーグで獲得した21、23年に続く満票受賞で、昨年の2度目の満票でも史上初の快挙だったが更新した。また、ア・リーグはヤンキース・ジャッジが2度目のMVPに輝き、リーグ新記録の62本塁打した22年以来の栄誉で初の満票での受賞となった。 【奥田秀樹通信解説】MVP投票が両リーグともに満票なのは昨年が初めてだったが、これで2年連続となった。なぜ満票が立て続けに起きているのか? 理由は、まずは大谷が唯一無二の存在だということがある。次に統計学的に分析するセイバーメトリクスの浸透。野球は守備位置で役割が違うし、球場のサイズも一定ではない。打撃、投球、守備、走塁といった異なる動きを、比較して評価するのが難しかった。 インターネットの普及前は、他の町の試合を映像で見ることさえ難しく、得られるデータも限られた。記者の想像力や、限られた記憶に委ねられ、MVPに対する考え方も異なった。67年ア・リーグ3冠王のレッドソックス・ヤストレムスキーが満票かと思いきや、ミネソタの記者が地元ツインズの野手トーバーに1位票を投じた。打率.267、6本塁打ながら、内外野6つのポジションを守った献身性を評価した。 近年の記者たちは異なるポジションの選手でも比較できる指標「WAR」を信じるようになった。代わりの選手が出た場合に比べ、どれだけ多くの勝利数を稼いだかを示す指標で、MVP投票で最重視される。(1)唯一無二の大谷(2)多くの情報や映像を見られること(3)多くの記者がセイバーメトリクスを信じてほぼ同じ考え方をするようになった、この3点が満票選出激増の背景にある。