「キャプテンをやった自分を少しは褒めてあげたい」(Bリーグ・滋賀レイクス 柏倉哲平)
人一倍の責任感を持って取り組む柏倉は、今シーズンの滋賀を引っ張る立場にうってつけの人物。ダビー・ゴメスヘッドコーチも、今シーズンの柏倉がいかにチームに不可欠な選手であったかを熱弁した。 「昨シーズンはかなりシャイなところもあったんですが、今シーズンは自分がシュートを打つべきところでしっかり打って、リーダーであることを証明してくれました。私も彼にリーダーシップを与えましたし、アメージングなキャプテンで、私が今までコーチした中でもベストのキャプテンだと思っています。彼は感謝をいろんな人に伝えることができるので、私としてもコーチングしやすい。彼は違ったレベルにいて、キャプテン以上のものを持っています」 滋賀がB2優勝に辿り着く過程で、チームの結束がさらに強まる出来事もあった。山形ワイヴァンズとのセミファイナル第2戦に勝利し、B1復帰を決めた直後に自身の口から発表された、眞庭城聖の現役引退だ。移籍1シーズン目ながら「マニーって呼んでいいよ」と若い選手たちに心を開き、チームに明るい雰囲気を作り出したチーム最年長の精神的支柱。その眞庭がコートを去るという決断に至ったことは、当然のことながら他の選手の心に響き、誰もが「マニーのために」と奮起した。 B2優勝を決め、眞庭と2人並んで記者会見に姿を現した柏倉は、8学年離れている眞庭に“さん付け”をせず、愛着を込めて「マニー」と呼ぶ。昨シーズンから戦ってきたメンバーとともにB1昇格・B2優勝を勝ち取ったことを「自分のキャリアの中で一番嬉しい瞬間」と語る一方で、眞庭が滋賀へやって来たことへの感謝の気持ちも大きい。 「シーズン開幕からなかなか結果が伴ってこない苦しい状態が続いた中で、やり続けることの大切さや、自分たちがどこにフォーカスしてどういうチームを作っていかないといけないかということを、チームのために率先して発信してくれました。なかなかプレータイムのない若手の励ましやサポートもありましたし、自分に対してもパフォーマンスが良くないときに声をかけてくれたり、チームに喝を入れてくれたり、思い返したらそういう話がいっぱい出てきます。自分がキャプテンをやってきましたが、これだけ支えてくれた人はいなかった。『マニーがいたからやってこれた』と思ってます」 クラブからは契約満了に伴う自由交渉リスト公示のリリースがあり、残留か移籍か、その動向は現時点では不明。しかしながら、「滋賀に来てからも、その前も、自分のバスケット人生では苦しいことしか経験してこなかった。今日、試合終了のブザーが鳴った瞬間に『やり続ければ報われるんだな』と感じました」という柏倉は、これからどのような道を進もうとも、不断の努力とリーダーシップでキャリアを切り拓いていくはずだ。
吉川哲彦