インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
レッドブルの姉妹チームRBからF1に参戦する角田裕毅は、ホンダのイベントでインディカーを初ドライブ。将来的なインディ500参戦にも意欲を示すコメントを残した。 【リザルト】F1第22戦ラスベガスGP:フリー走行2回目結果 角田がラスベガスGPを前にした水曜日、『Celebrating Honda's Hybrid Heroes』と題されたイベントの中でインディカーに乗り、ラスベガス・モータースピードウェイにある推定1.3マイル(約2.1km)のロードコースを走った。また3度のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンもアキュラARX-06 GFTPを走らせた。 6度のインディカー王者に輝いたスコット・ディクソンのレクチャーを受けた角田は、走行を開始してすぐに限界に挑戦しているようだった。チップ・ガナッシ・レーシングが用意した93号車のコックピットから降りた角田は笑顔を見せ、その後メディアの取材に応えた。 日本人F1ドライバー、ホンダドライバーの先輩でもある佐藤琢磨は、2度のインディ500ウイナーとしてレース界の歴史に名を刻んだ。今回の経験が、佐藤が歩んだ道をなぞるように将来インディカーに参戦することへの興味をそそられるものになったかとmotorsport.comに尋ねられた角田は、次のように語った。 「もしチャンスがあって、それが自分にとって適切なタイミングだと感じたら、もちろんそうしたいですね。アメリカ自体も好きなので、ここに住むことにも抵抗はありません」 「でも今はそのタイミングではないと感じています。というのも、(インディアナポリス・モータースピードウェイで)2時間以上毎周200マイル以上で走るなんて想像がつきません。あんなクルマに2時間以上も乗るなんて想像できないですし、僕にとっては恐ろしいことです」 「今はインディカーを目指したり、インディカーのことを考えたりはしていません。もちろん将来のことは分かりませんけどね」 また角田は、北米最高峰のオープンホイールレースであるインディカーシリーズの特色とも言えるオーバルレースについて、自身の考えを述べた。 「怖がっているわけではありませんが、オーバルで完全に安心して走れるというわけでもありません」 「ドライバーたちを本当に尊敬します。この輪の中で、2時間もどうやって走るんだろうという感じですし、文字通り毎周壁の真横で走るわけです。接触が起きたら大事故につながる可能性がありますし、そういうことは想像もつかないですね。そして今はオーバル(レースの参戦)についてはあまり考えていません」 「(インディ500は)とてもクールなコンペティションですし、ほとんどのドライバーはそこに出ることを夢見ているでしょう。今はそこを目標にしているわけではありませんが、もう少し歳をとって、物事に対する考え方が変わってきたら、その時点で挑戦するかもしれません。もしそうなったら、レースの後に(勝者の証である)ミルクが飲めると良いですね」 サーキットのレイアウトが低速寄りだったことからパワーステアリングがないことへの影響は少なかったようだが、F1のHALOとは正反対で風通しの悪いエアロスクリーンの後ろに座っていたこともあり、汗をかいたという角田。コースを攻める時の感覚はカート時代を思い出すものだったという。 「カートに近い感覚でしたね。楽しく遊べるような感じで」 「F1マシンは多くのシステムによってコントロールされていますが、このマシンはよりダイレクトに感じられますし、リヤのスライドし始めるところをコントロールする必要があります。気持ちのいい感覚でしたし、すぐに快適に走れたのでよりプッシュすることができました」 また角田を指導したディクソンによると、角田はロールバーやエンジンモード、ハイブリッドシステムのデプロイメントなど、詳細な部分に興味を持っていたという。そしてHRC USのデビッド・ソルターズ社長は、角田が比較的すぐにフルプッシュを始めたことを明かし、それは印象的なことだったと話していた。
Joey Barnes