後半をピシャリと締めた、県岐商・森

＜第106回全国高校野球選手権大会岐阜大会：県立岐阜商9―3岐阜各務野＞25日◇準決勝◇岐阜長良川球場 【動画】名将・鍛治舍巧監督が逆算から導き出す方程式。独自メソッドで県立岐阜商を日本一へ 今大会の優勝候補筆頭ともいわれている県立岐阜商。今春の県大会も制して、力はやはり県内一だということも証明した。ちなみに、戦前の中等野球時代のユニフォームにしたことも話題となっている。 その県立岐阜商に挑むのは、県内公立校としては、注目される存在になりつつある岐阜各務野である。チームを率いる鹿野 浩史監督は、かつて岐阜城北を率いて甲子園へ導いた実績もある。 試合は県立岐阜商が先制攻撃。初回に一死一塁から加納 朋季選手(3年)、垣津 吏統選手(3年)の連続二塁打に始まって、5連打で4点を奪った。さすがにこれには岐阜各務野も堪らず、先発の日下部 瑠輝投手（3年）を左翼へ下げて、背番号10の深尾 祐伎投手（2年）を投入した。そして深尾投手は度胸よく投げ込んで、後続を抑えた。 そこからの岐阜各務野の、決してひるむことなく反撃していく姿勢は見事だった。3回に、県立岐阜商の先発・池田 諒真投手（3年）に食い下がって2点を返す。さらに4回にも2番手として登板した近藤 朝日投手（3年）に対して、4番後藤進次郎選手(3年)の二塁打をきっかけにして、犠飛で1点を返した。その裏また、1点を奪われて引き離されるものの、岐阜各務野は最後まで粘り強く食い下がっていった。 岐阜各務野は、その後も深尾投手と日下部投手を何度か、投手と左翼手と入れ替えていきながら、相手の目先を変えていく戦術をとった。それでも、結局最後は、力で上回る県立岐阜商は7回、8回にも得点を重ねた。しかし、コールドゲームにさせなかった戦い方、粘りは高く評価されていいであろう。 9回の攻撃では代打で起用された山口 大輝選手(3年)、本田 英介選手(3年)がヒットを放った。鹿野監督も、「本当によく打ってくれた。あまり試合に出る機会はなくても腐らずに真面目に一生懸命、よく練習をしてきて、この1打席にかけてくれた思いはとても嬉しい」と、心から選手たちの頑張りを称えていた。「野球の基本的な力の差はありましたが、精いっぱいやれたと思う。また、次を目指して頑張っていきたい」と鹿野監督は語った。 県立岐阜商は6回からは注目のエース・森 厳徳投手（3年）が登板。4イニングを投げて、3安打無失点に抑えたのはさすがだった。ストレートはほとんどが、140キロ以上を表示。最速は147キロだった。本人の球速に対しての数字目標は150キロということなので、そこまであと3キロだ。 県立岐阜商はこれで2年ぶり31回目の甲子園出場まで、あと一つというところまできた。鍛治舎監督は、「今日の相手は、春のオープン戦では大勝している相手なんですよ。だけど、夏までにはきちんと仕上げてくるんだなぁと、感心しました。初戦で戦った高山西も、前は大勝した相手だったのですが、苦しめられました。こうして、岐阜県のレベルそのものも上がっているんだなぁとも思いました」と、さすがに社会人野球のパナソニックの監督後にはNHKで高校野球解説もやっていた人らしいコメントでもあった。 チームに関しては「いい感じで打線がつながってきたと思います。今年のチームは“打って勝つ”ということをテーマとしていますけれども、それが少しずつ本物になってきたかなとも感じています」と、いい感触だったようだ。