「なぜプロ志望届を出さない?」大社エース・馬庭優太が初めて明かす“進路の決断”…部員数ギリギリの中学野球部から“早稲田実を倒すまで”
今夏の甲子園を驚かせた大社高校。なかでも注目されたのが、突如全国区に躍り出たエース馬庭優太である。神村学園戦は限界だったのか。プロ志望届は出すのか。9月上旬、現地記者が本人に尋ねた。 【大社ルポの写真】「地獄を見た者だけが…」大社高校監督室のスゴい貼り紙「まるで漫画の表紙…大社の番狂わせを収めた“ネット騒然の1枚”」旋風の様子と合わせてNumber撮影写真で一気に見る
「馬庭投手ですか?」一躍有名人に
いたずらっぽい笑顔と声色だった。 「少しはあるんですけど、馬庭“さん”に比べたら、全然です」 大社の主将で正捕手だった石原勇翔に、「甲子園から帰ってきて、街中を歩いていたら、気づかれるか」と尋ねたときの回答である。 女房役の一言を聞いた「馬庭“さん”」こと、大社のエース・馬庭優太は、「やめろって、もう……」とつぶやきながら、甲子園期間中よりも少し髪が伸びた頭をかいた。 「地域の皆さんから、すごく声をかけてもらっています。『馬庭投手ですか? 』みたいな質問の形が一番多いですかね。そのたびに、甲子園ベスト8まで勝ち進めたことを実感します」 10月に佐賀で開催予定の「国民スポーツ大会」への出場が決まっているが、話を聞いた9月初旬は学園祭が控えていた。学園祭が終わるまで3年生の練習参加は自由。夏の甲子園での戦いを終えて島根に戻り、束の間の休息期間である。 32年ぶりの出場、63年ぶりの白星、107年ぶり2勝、そして93年ぶりの8強進出。この夏、大社が勝ち進むたびに報じられる数字は、いずれもインパクトに満ちていた。 その勝ち上がりの中心にいたのが、馬庭だった。
甲子園中に…「こうして覚醒した」
背番号1の左腕は、報徳学園との初戦から3試合連続で先発完投。「今夏屈指の名勝負」との呼び声も高い早稲田実との3回戦では、延長11回を投げ抜き、最後は無死満塁からセンター前にサヨナラ打を放つという、投打にわたる活躍を見せた。 一塁に駆け出しながら、打球が二遊間を破る様子を見届けると、目に涙を浮かべながら、歓声にこたえるように両腕を広げた。本人曰く「なにも考えられなくて、自然とああいうポーズをとっていた」とのことだが、耳をつんざくような大歓声に包まれ、ナイター照明に照らされる姿は、神々しくさえあった。 「甲子園での4試合は、人生を変える4試合だったと思います。その中でも一番印象に残っているのが、早実戦。試合を重ねるごとに応援の声も増えて、バックネットの(観客の)皆さんも応援してくださっていたのが感じられました。そこで自分が打って決めて、あれだけの歓声をもらえたのがうれしかったです」 こう振り返り、「あと…」と付け加える。 「ピッチングで一番手ごたえを感じたのも、この試合。2試合連続で(先発で)投げて疲れはあったんですけど、その疲れがあるからこそ、力感のないフォームができたので。そう考えたら、やっぱり3回戦が色んな意味で一番いい試合でした」 ところでこの夏、馬庭はいかに覚醒したのか。
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