大企業の後ろ盾なし、設立2年でリーグワン参入果たしたラグビークラブ「ルリーロ福岡」の驚きの“稼ぐ仕組み”
福岡県うきは市を本拠地とするラグビークラブ「ルリーロ福岡」が、来シーズン(「2024-25シーズン」)から日本ラグビーの最高峰リーグワンに参入する。 リーグワンには、大都市圏の大企業を母体とするチームが居並ぶ。そんな中、ルリーロ福岡は、筑紫平野最奥部の過疎地域を拠点に、スタートアップとして勝負をかける。 大企業の後ろ盾がない彼らは、どのように資金を集め、チームを運営しているのか。そして、地域に根差した独自のクラブ作りとは。代表の島川大輝氏に話を聞いた。(竹林 徹:ライター/メディアディレクター) ルリーロ福岡代表の島川大輝氏 ■ 財務審査もクリア、設立2年で参入を実現 まず、ルリーロ福岡設立の背景からリーグワン参入までを駆け足でまとめよう。 島川氏は、元々関西の出身でうきは市とは縁もゆかりもなかったが、仕事で同市の浮羽究真館高校ラグビー部の監督、吉瀬晋太郎氏と出会ったことがきっかけとなった。 本気で「日本一」を目指す吉瀬監督の熱に引かれた島川氏は、地域の求心力を高め、高校ラグビー部の持続的な強化につながる仕組みを一緒に考えた。その答えとして導き出されたのがトップチーム構想だった。 「2021年の2月頃に、うきはにトップチームを作ろうという話になりました。働きながらトップを目指す大人たちが近くにいれば高校生たちにもプラスになる。地域との連携を前提にした、総合型地域スポーツクラブのような形をイメージしていました」 2022年4月、ルリーロ福岡が立ち上がる。当初から「リーグワン参入」という高い目標を掲げたことで、所属チームの廃部や休部で行き場を失っていた県内の有力選手も集結。地域リーグで結果を残し、設立からわずか2年でリーグワンへの参入が実現した。来シーズンから最下部リーグの「DIVISION3」で戦う。
参入に当たっては財務の健全性や収益力も審査されるが、リーグ側から「母体企業がないチームに比べチャレンジはあると思うが、(財務の健全性、収益力を)蓋然性高く示してくれた」(リーグワンの東海林一専務理事)との評価を受け、クリアすることができた。 ■ ラグビークラブらしからぬ新規事業に挑戦 クラブの収益について島川氏は「3つの柱を立てています」と語る。昨年度(2023年度)の決算の数字も出してもらい説明してもらった。 「1つ目がパートナー(スポンサー)企業からの協賛やクラウドファンディングでの売り上げで約2500万円。2つ目はうきは市を通じた企業版ふるさと納税でこれも約2500万円。3つ目が事業売り上げで約3000万円です。それぞれ競技性、地域性、事業性にひも付いていて、リーグが求めるものにも合致します。これら3つの柱を相関させながら大きくしていきたいんです」 特筆すべきは、収入の中で初年度から最も大きな割合を占めたのが事業収入だったことだ。 「事業収入が一番大きくなったのは嬉しかったですね。もちろん協賛やクラウドファンディングには本当に助けられているのですが、それだけに頼らずに新しい収益源を作れたのは大きいと思います」と島川氏は語る。 フォトスタジオ、整骨院や寮の経営、企業間のビジネスマッチング、研修事業、人工芝の施工・・・一見ラグビーとは結びつかない事業もあるが、キャッシュポイントを増やすべく様々な事業に挑戦した。そこでまいた種が少しずつ実を結び始めているようだ。