父の年金は月に「20万円」だそうです。受給額はほかの人よりも恵まれている方なのでしょうか?
親が年金を受け取るようになると、年金額が平均よりも多いのか気になる方もいます。年金は老後のおもな収入源となるため、平均額を知っておくと、老後も生活を問題なく送れるかの判断材料のひとつにもなるでしょう。 年金の平均受給額を知りたいときは、厚生労働省のデータで確認できます。今回は、年金の平均受給額や月20万円の年金を受け取れる年収、年金額を増やす方法などについてご紹介します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
年金の平均受給額はいくら?
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータによると、老齢厚生年金の受給権を有する方の平均年金受給額は、老齢基礎年金と合計して月に14万3973円でした。 さらに、男女別で比較すると、65歳以上の男性の平均年金受給額は月に16万7388円です。全体平均と比較すると、年金を月に20万円受け取っているのは多い方だといえるでしょう。 また、同資料では年金の月額帯ごとの受給権者数が公表されています。男女を含めた全体で見てみると、年金月額で最も受給権者数が多い金額帯は10万円以上11万円未満で約7%でした。一方、男性のみで比較すると、最も受給権者数が多い金額帯は17万円以上18万円未満で約9%です。また、男性のみで見た場合、19万円以上20万円未満は約8%と4番目に多い割合です。 男性のみの受給額で比較すると、月に20万円の年金は受け取っている方も多くいると考えられます。
年金を月20万円もらえるのは年収いくら?
受け取れる年金額は、国民年金を納付した期間と厚生年金への加入期間、そして収入によって変動します。国民年金を納付すると受け取れる年金が老齢基礎年金、厚生年金に加入していると受け取れる年金が老齢厚生年金です。 日本年金機構によれば、令和6年度の老齢基礎年金額は満額が月額6万8000円なので、月に20万円の年金を受け取るには老齢厚生年金額が13万2000円の必要があります。老齢厚生年金額はおもに報酬比例部分によって求められ、同じく日本年金機構によると、平成15年4月以降に厚生年金へ加入した場合の計算式は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金の加入月数」です。 平均標準報酬額は月収と賞与の総額の平均を基に決められるため、平均標準報酬額が分かれば老齢厚生年金を月に13万2000円受け取れるおおよその年収も計算できます。今回は、以下の条件で老齢厚生年金を月13万2000円受け取れる年収を計算しましょう。 ●厚生年金の加入期間は22~65歳 ●平成15年4月以降に加入 ●年収は一定と仮定 ●報酬比例部分が老齢厚生年金額と同額 老齢厚生年金が月に13万2000円だと、年間158万4000円です。報酬比例部分の式に当てはめると「158万4000円=平均標準報酬額×0.005481×516ヶ月(43年)」となり、平均標準報酬額は約56万74円になります。平均標準報酬額は賞与も含めた収入の月額平均なので、年収に換算すると672万888円です。 国税庁長官官房企画課の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、令和5年時点での平均年収は男性で568万5000円、正社員(正職員)に限定しても 593万6000円でした。給与から比較してみても、父親は平均より多く年収を受け取っているといえます。