「見切り品の刺身は買わない方がいい?」食のプロが伝授!スーパーで役立つ“新鮮な刺身”の選び方
暑さのせいで食欲のない日でもお刺身なら食べられる!という方も多いはず。スーパーでも1人前から手軽に購入できますが、閉店間際の見切り品の中には「これ大丈夫?」と思ってしまうようなものもありますよね。 ⇒【関連写真】「夏にバナナを長持ちさせるコツ」常温?冷蔵?バナナの正しい保存方法を食のプロが伝授! そこで今回は食の専門家であるスギアカツキさんに「スーパーで刺身を買う時の上手な選び方」について聞きました。
刺身がマズくなるメカニズムとは
そもそもの「刺身の鮮度が落ちる」理由について理解していると、閉店間際の刺身売り場の中でもより良いものを選ぶことができるようになるとスギアカツキさんはいいます。 「刺し身の鮮度が落ちるとマズくなる理由は『魚の油』にあります。魚の油といえばDHAやEPA、オメガ3などを含み身体に良い効果があると言われていますよね。しかし、魚の油の弱点は酸化しやすいことなんです。 オメガ3を多く含む亜麻仁油などは『加熱してはいけない』と言われますが、これは加熱することによって酸素と結びついて酸化してしまうから。油は酸化すると臭くなってしまいます。 特にDHAやEPAを多く含む青魚が日持ちしないと言われるのは酸化しやすい=劣化しやすいからです。青魚以外にもマグロ・ブリ・サーモンもそうですね。マグロは特に油の多いトロの部分は赤身よりも劣化しやすい……これは刺身の状態になっても同じです。 一方で油をあまり含まない白身魚は劣化しにくいです。もし鮮度の良さを重視して閉店間際のスーパーで刺身を選ぶなら、ヒラメやタイなどの白身系を選ぶと良いでしょう」(スギアカツキさん)
鮮度・アニサキス問題で信頼できるスーパーとは?
さらに鮮度において信頼できるスーパーを見極めると良いのだそう。 「スーパーごとにどこから鮮魚を仕入れているのか、どのように刺身の処理しているのかは大きく異なります。鮮度の良い魚を仕入れ、適切な処理をしているスーパーであれば、その日に食べ切る前提で見切り品を買っても基本的には安心です」(スギアカツキさん) 素人にはそのスーパーの仕入れ状況や処理の仕方などを見極めるのは難しそうですが…… 「見極める方法はいくつかあります。まずはお魚売り場が充実していて、鮮度の良さそうな1匹そのままの魚を売り場に並べているお店。さらに1匹丸ごとの魚がよく売れていれば常連客から評価されている証拠です。また、お寿司が美味しいお店も良いですね。個人的にはオオゼキ(東京・神奈川を中心に展開するスーパーマーケット。鮮魚や青果の種類や鮮度の良さが人気。メディアでもたびたび話題になっている)は店舗ごとの裁量で買い付けを任されていることもあり、魚売り場に力を入れている店舗も多い印象です。駅ナカ、駅チカに入っている魚専門店の中には九州のお魚まで品揃えするほどこだわっている店もあります。有名なところでは角上魚類もありますよね。一方で人気急上昇中のロピアはもともとお肉屋さんなので、魚よりもお肉に力を入れている印象です」(スギアカツキさん) 筆者がお刺身を買う時にどうしても気になってしまうのが「アニサキス」。絶対に食べたくないのですが、避けるにはどうしたら良いのでしょうか? 「魚に力を入れているスーパーは経験豊富なスタッフも多いので、アニサキスのチェックも目視で十分に行っています。もちろん100%ではないので売り場には注意喚起の張り紙がありますが、リスクはかなり低いはずです」(スギアカツキさん) スーパー選びでもだいぶリスクを下げることができるんですね。それでも不安な人は……? 「自分でも調理の際に目視でチェックすることですね。どうしても不安な人は陸上養殖された魚の刺身を購入するという方法もあります。最近回転寿司やデパ地下でも取り扱いが増えているのですが、パッケージに陸上養殖されたものであることが明記されていて、ブランドにもなっています。お嬢サバや白雪ひらめは有名です。陸上養殖の魚にはアニサキスは存在しようがないですから、安心ですよ」(スギアカツキさん)