樋口恵子×坂東眞理子 世界に先駆けて超長寿社会になった日本。「私たち全員が老いの初心者。だから気づいたことを言い続けないと」
総務省が公表した資料「統計からみた我が国の高齢者」によると、総人口に占める65歳以上の割合が過去最高の29.1%と推計されるそう。そこで今回は、「人生100年時代」を楽しく生き抜くための知恵が詰まった書籍『人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き』より、評論家の樋口恵子さんと昭和女子大学総長の坂東眞理子さんの対談をお送りします。 【写真】追加席が出るほどの大盛況!「らぷらすフェスタ講演会」で話す坂東さん * * * * * * * ◆女性はいつも働いてきた 樋口 私、坂東さんのご著書を拝読して共感するところがいっぱいあるのですが、なかでも坂東さんが終始一貫提案し続けているテーマに常々感心しております。そのテーマとは「働け!」であります。 坂東 ありがとうございます(笑)。 あらためて「働け!」と言われるまでもなく、女性はいつも働いてきました。家事の仕事、子育ての仕事、介護の仕事。 ただ、昔の女性は、こうした重要な仕事をしているにもかかわらず、自分の名前で報酬を得ることができませんでした。そうした歴史が、私たち女性が社会と切り離されてきた要因だと思います。 今は、女性もようやく社会のなかで仕事をして報酬を得るのが当たり前の世の中になりつつあり、これはうれしいことです。
◆何歳になっても働ける 坂東 ただ、同じ女性でも高齢になると、再び社会から追いやられてしまう。これが現代の問題です。年を取っても、これまでの仕事のキャリア、家事のスキルなどを生かせば、やれることはまだまだあるはずです。高齢者が高齢者を支え勇気づけるような仕事もあるでしょう。 チャップリンは自身の映画『ライムライト』のなかで、人生に必要なことは「愛と希望とサムマネー」と言いました。 小さなことでも世の中に役立つ仕事をして、サムマネー、いくらかのお金をいただくのが、人としての誇りや喜びにつながります。 女性がそうした道をたどってきたように、これからは、高齢者が働くことが当たり前の社会になるのが理想です。 及ばずながら、私もそのお手伝いができたらいいなと考えています。
【関連記事】
- 樋口恵子 89歳で乳がんに。手術前に医者から告げられたのはまさかの…病名は同じでも、手当の処方は年齢によって違うという事実
- なぜヒグチさんは大病してもフェニックスのように回復するのか。「つらいときは猫に舐められて元気になった私の話を思い出して」樋口恵子×坂東眞理子
- 樋口恵子「高齢者ひとりでも大丈夫」と思いたいけれど、全然大丈夫じゃないと老いて実感。同居家族がいても「おひとり死」はありうることと心得るべし
- 樋口恵子 ピンピンコロリが理想でも、現実はそう簡単にいかない…ドタリと倒れてから「さてどうやって生き延びるか」こそが大きな課題
- 樋口恵子 無謀と言われても84歳で家を建て替えたワケ。エレベーターに電動雨戸。この家で懸命に生き、いよいよになったら施設で介護を受ける選択肢も