捕手併用で投手力を活かす阪神 球団OBが「扇の要」起用法に持論「『よくない』という風潮はおかしい」
今季、セ・リーグ連覇や2年連続日本一を目指す阪神は、開幕から坂本誠志郎、梅野隆太郎の両捕手がほぼ均等にスタメンマスクを被っている。坂本が23試合、梅野が20試合(いずれも43試合終了時)で先発に名を連ね、「扇の要」を担ってきている。 【動画】岡田監督の抜擢に応える活躍!井上広大がDeNA戦でタイムリーを放ったシーン セ・リーグを独走で制した昨季も、8月に梅野が負傷離脱するまで同様の起用が続けられており、両捕手への岡田彰布監督をはじめとする首脳陣、さらに投手陣からの信頼は絶大だ。 今季もチームは首位に立っており、坂本、梅野の両捕手の貢献度は小さくはない。その中で、阪神のように捕手の「併用」がチームにとって効果的であるとする、球団OBからの声も伝えられている。 阪神前監督の矢野燿大氏が、同じくOBである下柳剛氏のYouTubuチャンネル『柳に風』にゲスト出演し、捕手の起用法についての見解を語った。 5月20日に配信となった動画の中で矢野氏は、「捕手の『併用がよくない』という風潮はおかしいと思っている」と述べており、現在は多くの球団が複数の捕手を主力として起用していると主張。その上で、「初めから(1人に)固定することは良いとは思っていない」と続け、自身の監督時のエピソードとして、「自分の時は、坂本をもっと力をつけさせるために、2番手キャッチャーとして使っていた」と振り返っている。 その矢野氏のコメントに対し、下柳氏も「それが見事にハマって、坂本が経験を積ませてもらったことで、(昨季)梅野が怪我した時にやれていた」と指摘。さらに、坂本、梅野、それぞれのプレースタイルが大きく異なると説明しながら、「違うタイプの2人がいても良いと思う」と話している。 また動画で矢野氏は、自らの現役時代の心境も打ち明けている。レギュラーとしての出場が多かった矢野氏が、投手との相性で控えに回った際には、「すごいプレッシャーを感じていた、『(2番手捕手が)活躍されたら、俺は出られへんのちゃうのかな』と思った」などと語っており、「良い意味で刺激を与えるということは必要だと思っている」と持論を展開した。 これまで「正捕手」を置くことが常とされてきた日本の野球界だったが、矢野氏の述べるようにそのスタイルは変わりつつあるようだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]