庶民の味「粉もん」に危機 たこ焼き、お好み焼き店で倒産相次ぐ
お好み焼きやたこ焼きなど、いわゆる「粉もん」の店に逆風が吹いている。帝国データバンクが調査結果を発表し「粉もん店」の倒産が11月までに21件発生したと分かった。過去最多だった2023年(26件)と同ペースで推移しており、小麦粉や卵などの原材料、人件費や電気代など各種コストの上昇が打撃となった。 【調査結果】たこ焼きの調理コスト、どれだけ増えた? 10年の推移を見る 影響が特に深刻なのが、たこ焼きだ。各種統計情報やレシピ情報を基に、家庭でのたこ焼き調理にかかる原材料コストを同社が試算した結果、たこ焼き12個当たりで250円以上。2015年平均(約170円)と比べると、食材価格だけでコストが1.5倍に増加した。豚玉を中心としたお好み焼きでも、平均が300円を超え、10年間で1.2倍に増加するなど、総じて原材料コストの大幅な増加が続く。 粉もん料理は「庶民の味」の代名詞でもあることから、コストを販売価格に転嫁しづらい事情もあり、原材料の値上げペースに耐え切れなくなり、閉店や経営破綻を余儀なくされたケースは多い。縁日やイベントの屋台で買うお好み焼き・たこ焼きでも大幅な値上げが発生している。「安くておいしい」の維持が難しくなる中、帝国データバンクは「価格に見合う粉もん料理をどう提供できるかが、今後の生き残りのカギになる」と指摘する。 11月30日までの期間で、負債1000万円以上の法的整理による倒産を集計した。
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