兵庫県知事選挙現地ルポ/「民意って何?」が今、問われている(オフィス・シュンキ)
立花候補には初日、三宮センター街東口で声を聞きました。「今回の選挙、僕に投票しないでください。斎藤さん(候補)を応援するためだけに出馬していますから」と、集まった聴衆の方に念押ししながらの演説で、出馬した理由を何度も、形を変えて話されていました。
10月27日に行われた衆議院選挙に兵庫1区から出馬し落選したばかりの木島候補は「さんきたアモーレ広場」などで演説を聞きました。木島候補は「関西州を作りたい。兵庫県と大阪府を一緒に管轄する知事を選べるようにしたい」と、道州制を前提とした政策を中心に話をしていました。
握手の行列、事務所の壁一面の付箋……混乱の先にある民意とは
「市民目線」で今回の選挙を歩いた時、もっとも目を引くのは斎藤候補のところに集まる人の数でした。筆者は斎藤候補が知事失職当日の9月30日に駅立ちを始めたことがニュースで流れたのを見た際、「なんで、これだけバッシングされてるのに駅立ちをするんだろ?」と素朴な疑問がわきました。しかし、斎藤候補が立った駅で出会った支持者らが連絡先を交換して自発的に応援ボランティアチームを立ち上げる瞬間もみることになりました。また、別の日の朝のあいさつの場には握手や写真撮影を求める女性が大半を占める行列ができていました。この自然発生的な人の集まりは、どの場所でも倍々ゲームのように膨らんでいったのです。 同候補の事務所へ行くと、訪れた県民の声が書かれた青い小さな付箋が壁いっぱいに貼られていました。その数は1000枚に届こうという勢いになっています。選挙が始まって12日間に、公式には位置も含めて知らされていないという事務所に少なくともこれだけの人数の県民が訪れているのは事実としてあるのです。 この間、大手のテレビ、新聞、メディアの報道は過熱し、そのほとんどが前知事を糾弾する内容に終始しましたが、前知事はそれでも出直し選挙立候補を目指し、この活動がSNSなどで拡散され人の輪を広げ、前知事の印象を少しずつ変えていった様子が伺えました。立候補者の中でも、立花氏はテレビ報道は悪だとし、「前知事は犯罪も違法行為もしていません」という主張で斎藤氏を後方支援します。 ただ一方で、選挙の発端となった内部告発文書の問題の真相究明は道半ばにあります。これに対し、清水氏は「初期対応がおかしかった。処分の判断には第三者の目を入れるべきだった」とし、稲村氏は「混乱に終止符を!対話を通じて信頼を回復し、風通しの良い兵庫県政へ」をキャッチフレーズに知事や議員も対象に含むハラスメント防止条例の制定などを公約に掲げます。大沢氏も「知事と幹部職員が告発をつぶそうとしたことは大きな問題」と指摘して「職員が県民の声を聞き、県民のために力を発揮できる県政にしたい」と訴え、それぞれ県政刷新の必要性を強調しています。