ケアマネジャーとは、どのような役割を果たしているの?
[知りたい!介護保険]
「どんな介護サービスを利用したらいいのだろう」「デイサービス(通所介護)の事業所がたくさんあって、どこを選んでいいか分からない」 【図表】ケアプランの一例
そんな悩みに寄り添い、相談に乗って、サービスを利用できるように調整してくれるのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。自宅での生活を続けられるよう、具体的なサービスの内容を盛り込んだケアプラン(介護計画)を作成し、サービスを提供する事業者と橋渡しをする、介護の“司令塔”です。
厚生労働省によると、全国に約18万人(2022年10月時点)おり、主に居宅介護支援事業所で働いています。市区町村が発行する事業所リストなどを参考に選び、連絡を取りましょう。最寄りの高齢者相談窓口「地域包括支援センター」が相談に乗ります。
要介護度に応じて、利用できるサービスの種類や月々の利用回数が決まります。ケアマネジャーはその範囲内で、利用者の希望や心身の状態を踏まえてケアプランを作ってくれます。サービスの利用料は原則1割ですが、ケアプランの作成や相談は無料です。
ケアマネジャーとして約20年の経験がある近藤真由美さん(54)(神奈川県秦野市介護支援専門員協会長)は「高齢者が、住み慣れた自宅で安心して生活できるよう支えるチーム作りを引き受けます」と話しています。 デイサービスや訪問介護、特別養護老人ホームに短期間入所するショートステイなど、様々なサービスの中から、最適な組み合わせを一緒に考えてくれます。「最期まで自宅で暮らしたいか、いずれ施設に入所したいかはもちろん、どのくらい費用を負担できるか、家族の協力をどの程度得られるかなどを教えてほしい」と近藤さんは言います。 地域の事業所の情報を収集してパイプを作っており、連絡やサービス提供の手配をしてくれます。ケアプランに沿って利用者は各サービスの事業者と契約し、利用します。 例えば、週に2日は訪問介護を午前に1回利用し、2日はデイサービスに通って、週末にショートステイを利用する――といったイメージです。 利用開始後も、ケアマネジャーは毎月1回ほど、自宅を訪問して適切なケアが受けられているか確認をしてくれます。事業者に直接言いにくい要望や苦情を代わりに伝えてくれることもあるそうです。 チームの一員である家族が精神的、肉体的に疲れてしまったのでは、立ち行きません。仕事の出張、冠婚葬祭で外出する時や、体調を崩したり、心身の負担で「介護疲れ」を感じたりした際の「レスパイト」(休息)を目的に、ショートステイの利用を勧めてくれることもあります。 近藤さんは「介護中でも仕事や趣味の活動を諦める必要はありません。家族が元気でいることが、利用者の安心につながります」と言います。(野島正徳)(2024年11月12日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です)