ここにきて日本代表監督候補に名将・ベンゲルの名前が浮上してきた理由とは
日本サッカー協会(JFA)との契約満了に伴い、今月末で退任する日本代表の西野朗監督(63)の後任候補として、今年5月をもってプレミアリーグの名門アーセナルを退団したアーセン・ベンゲル前監督(68)の名前が急浮上してきた。 JFAは20日午後、東京・文京区のJFAハウスで技術委員会を開催。後任の最有力候補として複数のメディアが報じていた、2020年の東京五輪に臨む男子代表チームの森保一監督(49)には一本化されず、人選を技術委員会の関塚隆委員長(57)に一任することを決めた。 約3時間半に及んだ話し合いを終えた関塚委員長は、具体的な後任候補の名前は挙がったのか、というメディアの問いに対して「4、5人は『たとえば』というのは出ました」と明言。そのうえで、議論の内容や今後の動きについてこう説明した。 「代表監督要件に沿って選定を進めていくというか、いまの日本代表にとって本当に適した人をこれから絞っていく状況です。今回のワールドカップで西野監督が指揮を執り、いろいろな日本のよさというものを出したなかで、やはりさまざまな意見が出てきました。フットボールに対する評価という意味では、日本のストロング(・ポイント)を引き出していけるのか、今大会の戦いを再びゼロにはすることなく、ベースにした形で世界基準というより高いところへ進んでいけるのか、というところが一番のポイントになると思っています」 西野ジャパンが2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を果たしたロシア大会は、最終的にフランス代表が20年ぶり2度目のワールドカップを勝ち取って幕を閉じた。チームを率いたディディエ・デシャン監督(49)は、初優勝した20年前の自国開催大会でキャプテンを務めていた。 今回で21回目を迎えたワールドカップでは、すべて自国人の監督に率いられたチームが優勝している。さらにつけ加えれば、決勝トーナメント以降の3試合をすべて延長戦の末に勝ち抜き、初めて決勝進出を果たしたクロアチア代表のズラトコ・ダリッチ監督(51)もクロアチア国籍だ。 チーム力がある程度以上のレベルに達すれば、同じ言語や文化、習慣を介してチームに関わるすべての人間を納得させ、一体感を高められる自国人の代表監督がふさわしい――ロシア大会の結果でも証明された感のある傾向に対して、関塚委員長は注目すべき言葉を残している。 「今回は日本のよさは出ましたけれども、残念ながらベスト8に進むことができなかった。そこのところでもうちょっとレベルアップしていく、ということも大事なので。どのようにして両方をしっかりと進めていけるかを、考えていきたい」 両方とは日本人監督路線で勝負をかけるのか、あるいは再び経験豊富な外国人監督に学ぶのかを意味する。開幕前の下馬評を覆す快進撃で日本中を熱狂させた西野ジャパンだが、ロシア大会における最終的な成績は1勝1分け2敗だった。