安全性は? 「ライドシェア」に期待と不安 運転手不足の“切り札”となるか 【#みんなのギモン】
■アプリで事前にルートや運転手の確認も
この問題の切り札として浮上しているのが「ライドシェア」です。 海外では導入している国もあります。欧米では「Uber」、東南アジアでは「Grab」、中国なら「DiDi」などが有名で、料金も時間帯によっては、タクシーより比較的安く利用できるともいわれます。 一般的な仕組みは、利用したい人がスマホのアプリで現在地や行き先を送信。あらかじめ登録している一般の運転手が自家用車で迎えに来てくれます。 大野解説局員もこの夏、フィリピンで利用しました。料金は混雑する夕方の時間帯だったので一般のタクシーより高かったが、高級できれいな車で快適に利用できて、事前にルートや値段、ドライバーの評価もアプリで見ることができて便利だったそうです。
■日本のタクシー業界は強く反対…その理由は
使い慣れれば便利は便利ですが、日本ではタクシー業界が強く反対しています。 ここで2つめのポイント「安全性の不安 どう払拭?」を見ていきます。 日本のタクシー運転手は普通の免許とは違い、高い運転技術などが求められる特殊な「二種免許」を持っています。ところがライドシェアの場合、「普通免許」を所持していれば人を乗せて運転ができます。また事故が起きた場合、タクシーだと「会社」が対応します。しかし、ライドシェアは運転手である「個人」が対応します。このように結構、違いがあります。
取材させてもらった「葵交通」の田中社長もライドシェアに反対していて、その理由を聞いたところ「お客様の安全に不安がある」と言っていました。都内には、首都高のように非常に短いストロークで合流しないといけない場所があります。しかも細い道や入り込んだら出られないような場所もあります。こういう難易度が高い場所があるといいます。 駅や羽田空港を例として聞きました。同じ「タクシーの待合」といっても、英語がしゃべれる、しゃべれないの違いや距離など、いろいろ細かいルールがあるといいます。これを理解していないと事故につながる危険性があることを反対の理由にあげていました。 さらに「ライドシェアの一般の運転手の安全にも不安がある」と指摘していました。今の東京都内のタクシーだと、運転席の周りに囲いのような防犯設備があります。しかし普通の人の車にはありません。しかもタクシーは客を録画したりしています。ライドシェアの運転手も犯罪に巻き込まれてしまう危険があるのではないか、客の安全性、運転手の防犯の面でも反対だと言っていました。