「女性AGA」の悩み深く…認知度の低さで治療にハードル、ウィッグ選ぶ人も…高齢出産や更年期はとくに注意
■妊娠・出産・授乳期も注意、高齢出産が増える今「年齢や個人差によってはそのまま戻らず」
さらに、女性AGAの大きな要因となるホルモンバランスの乱れは、更年期だけに起きるものではありません。 「妊娠・出産・授乳期も女性ホルモンは減少するので、抜け毛が生じます。基本的にはその後にホルモンバランスは元に戻って毛髪も回復しますが、そのときの年齢や個人差によってはそのまま戻らず、なかなか生えてこないということもあり得ます」 高齢出産が増えている今、産後はとくに毛髪の状態にも気を配る必要があるということです。 また近年、若年層に増えているのが、生活習慣の乱れや慢性的なストレスによる女性AGAの発症だといいます。 「睡眠不足によって髪が成長するために必要な成長ホルモンが不足すると、薄毛の原因となります。また、食生活の乱れや慢性的なストレスも、栄養不足や血行不良を引き起こし、ヘアサイクルの乱れをもたらします。髪は生えて抜け落ち、再び生えてくるサイクルを繰り返していますが、これが乱れると髪の成長期が短くなり、太く成長する前に髪が抜けてしまう状態に。やせ細った薄毛の原因となってしまいます」 ■育毛剤や育毛シャンプーで効果は?「予防にはなっても発毛効果はあまりない」 では、こうした女性AGAの予防やケアには、日頃の生活でどんなことを注意すればよいのでしょうか。 「まず、食生活では、ジャンクフードやお酒は控えめにして、髪の栄養素となる海藻やミネラル成分、鉄分などを積極的に摂っていただきたいと思います。髪を作るたんぱく質も重要です。髪は約80~90%がタンパク質で構成されていて、そのうちの90%はケラチンが占めていると言われています。ケラチンには髪に柔軟性や弾力性を与えるシスチンというアミノ酸が豊富に含まれているので、美しい髪を手に入れるためにも欠かせません。これらの栄養素はサプリメントで補うのもいいと思います。また、イソフラボンや大豆は女性ホルモンと似た作用がありますので、とくに更年期前後の方は積極的に摂っていただくといいと思います」 さらに先生はこんなアドバイスも。 「頭皮環境も重要なので、毎日のシャンプーは大切です。シャンプー液を泡立てて、指の腹で洗ってください。血行が良くなるマッサージも効果的だと思います。一方、ヘアカラーやパーマは髪はもちろん頭皮環境にもダメージを与えるので、お薦めできません。また、自律神経の乱れも女性AGAの原因となるため、冷えやストレスもできるだけ避けたほうがいいでしょう。紫外線も頭皮や髪への大きなストレスになるので、避けてください」 育毛剤やシャンプーなど、薄毛・抜け毛ケアの商品が多数市販されているが、「予防にはなっても発毛効果はあまりない」と先生。むしろ「そこに高いお金を出すのであれば、医療機関を受診してお薬を飲んでいただいたほうが効果は出やすい」と助言します。