フェラーリ、WECタイトル争いに気合十分? ル・マンの勝利がアップデート投入のきっかけに
フェラーリは、WEC(世界耐久選手権)第5戦サンパウロ6時間レースでエボジョーカーを使ってマシンをアップデートした。そのきっかけは、前戦ル・マン24時間レースで勝利したことだという。 【リザルト】WEC第5戦サンパウロ6時間レース:予選結果 フェラーリはブレーキ効率が重視されるシリーズ後半戦(特に11月のバーレーン)に備えるため、LMH車両『499P』のリヤブレーキの冷却に焦点を当てた改良をサンパウロに持ち込んだと説明した。 フェラーリのスポーツカー・レーシング・テクニカルディレクターであるフェルディナンド・カンニッツォは、次のように語った。 「ル・マンでの好成績と、チャンピオン争いに戻ってきたという事実を考慮し、(今週末に)アップデートを投入するというのもひとつのアイデアだと判断した。ル・マン直後にこの改良を行なう準備ができていたんだ」 「ポケットの中にこのアップデートがあるのに、なぜすぐに投入しないのか? ここで投入することで、アップデートに慣れる機会が得られる。我々には再調整が必要なんだ」 「ブレーキにとって本当にストレスのかかるサーキットでレースをするときのために、経験を積むためにここに来たんだ」 ダブルポイントが与えられるル・マンで総合優勝したフェラーリ50号車(アントニオ・フオコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組)は、ランキング5番手から2番手にジャンプアップ。ランキング首位のポルシェ6号車(ケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ヴァンスール組)とは9ポイント差だ。 LMHまたはLMDhのプロトタイプマシンは、現行規定で5つのエボ・ジョーカーを使用してマシンをアップデートすることができる。 フェラーリは499Pにとって2年目となる今季の開幕時に、ジョーカー使用を見送っていた。さらに今年のル・マンでは、今シーズンの終わりか来シーズンの開幕にアップデートを行なうと言及していた。 カンニッツォは、ル・マンでアップデートをしたマシンを走らせなかった理由がふたつあると明かした。 ひとつはル・マンの舞台であるサルト・サーキットはブレーキにストレスがかかるレースではないこと、そしてもうひとつはルールメーカーであるFIAとACO(フランス西部自動車クラブ)がル・マンで採用される性能調整(BoP)を定めるために、事前にアップデートを使用するよう要求されたことだ。 フェラーリはル・マンより2レース前にあたる4月のイモラでアップデートを実施する必要があったが、それはさすがに時期尚早だったようだ。 リヤのブレーキ冷却に変更が加えられたのは、セットアップの選択に妥協が生じないように行なわれたものであり、カンニッツォは「パフォーマンスに大きな変化はないだろう」と付け加えた。 ブレーキ冷却パッケージの変更は、フェラーリが499PをLMHレギュレーションで定められたエアロ性能の枠内に収めるために、エアロダイナミクスのバランスを見直す必要があったことを意味する。 カンニッツォはその結果アンダーフロアが変更されており、アッパーボディは少し変更した程度だという。 アップデートされたマシンの視覚的な違いで最も明らかなポイントは、フロントのダイブプレーンやフリックボックス(バンパーコーナー)部分の修正だ。 カンニッツォは、フェラーリがよりパフォーマンス向上を目的としたさらなるアップデートを検討していることを明らかにした。これについてはFIAとACOの承認が必要であり、その投入時期については明言を避けた。 「我々はマシンの変更に非常に慎重に、用心深くなっている」 「しかしそれは我々が作業を続け、改善点を見つけようとする妨げになっているわけではない。作業は続いているが、いつ新しいものができるかはわからない」
Gary Watkins