「日本人客は『ごめんね』と言いながら変態のような行動を要求する」韓国の性売買当事者が明かした実体験 新宿・歌舞伎町では驚きも 「痛み」を語り社会を変える
「口をふさごうとする人たちには、私たちが話し続けることで反撃をしようと思った。彼らの隠したがる秘密を私たちはよく知っている。それを暴露し続ける」。ジウムさんの決意は固い。 「攻撃に耐えられたのは、私たちがひとりではなく、ムンチというみんなの力があったから。サポートをしてくれる人もいた」 ▽女性たちは語れる ジウムさんはコンサート前の取材に、日本社会をこう分析していた。 「日本は法整備が不十分で、性売買にとても寛大な社会だ。買春者や業者の声しか市民に届かない。女性が話せるムードがなく、受動的で見えない存在になっている」 来日や体験記の出版を通じて伝えたいことを問うと、こう答えた。 「買春者は『女性は喜んでいる。お金も稼げるし、セックスを楽しんでいる』と言う。私たちは、当事者の声で『そうではない』と語る。日本でも、女性たちは語れると伝えたい」 大阪コンサートの最終盤に、日本の性売買経験当事者ネットワーク「灯火(とうか)」の女性がマイクを握った。10代の頃から両親の暴力を受け、14歳で初めてネットで知り合った男性に性を売ったと告白。「生きていく上ではそうするしかなかった」と振り返った。
女性は声を詰まらせながらも、語った。「皆さんが、もし今日のムンチの話を聞いて、日本ではそんなことは起きていないと思うなら、それは知ろうとしないで来たから。日本でも韓国でも性売買が女性に対する暴力であることは変わりません」。語り終えると、ムンチのメンバーを始め、会場から拍手が湧いた。 【※現代韓国の性売買を研究する東京外国語大の金富子名誉教授によると、韓国では売る側の女性だけを問題にする「売春」という言葉を批判し、買う側や性産業の取引の側面を強調させるため「性売買」という言葉が広がっている】