セレブに学ぶ11の口髭デザイン
かっこいい口髭を伸ばすのに濃い毛質の持ち主である必要はない。世の中には様々なデザインの髭があり、それぞれにユニークな個性があるからだ。あなたが大の親友とまったく同じタイプの口髭を蓄えようとしたとしても、そこには微妙な差異が生じてくるはずである。また、既存のスタイルの口髭をあなた自身の手でアレンジすることもできる。ちょっとハサミを入れてみたり、ワックスを付けたりすることで、あなたの顔はたちまち変貌するだろう。 【写真つきの記事を読む】11の口髭スタイルをセレブの写真とともにチェック! しかし、多種多様に存在する口髭のなかであなたに最も似合うタイプはどれだろうか。幾何学に基づいたルールはそれほど重要ではない(少なくとも、似合うかどうかはヘアスタイルやあご髭、眼鏡の形ほどには顔の輪郭に左右されるものではない)。丸顔にも角張ったあごの持ち主にも似合う口髭というのは存在するし、だからこそ口髭の選択はあなたの意志次第なのだ。重要なのは自身の髭の伸び方を知ること。自分にぴったりなスタイリングの極意を、US版『GQ』のメンズ・グルーミング専門家であるマッティ・コンラッドに訊いた。 ■口髭には2つのセクションがある まずは口髭が2つのパーツに分けられることを知ろう。それがわかれば、その毛をどのように伸ばせばいいか、整えればいいか、スタイリングすればいいかが見えてくるはずだとコンラッドは言う。 ピーク:口髭を整える際、最上部の毛を念入りにトリミングするのがいいだろう。よりスタイリングしやすい下部やサイドの毛に重なってかさばらないようにするためである。この最上部の毛を“ピーク”という。ここが短く整えられていれば、その下に豊かに蓄えた毛をスタイリングしやすくなるのだ。 ポイント:口髭全体から見て両端やサイドに当たるのが“ポイント”だ。この部分は持ち主の意志でアレンジしやすく、例えばワックスで整えるなどのスタイリングにも柔軟に応えてくれる。 ■口髭オンリーの8スタイル 多様なオプションで溢れるなか、コンラッドが最もポピュラーなスタイルだと話すのが以下の8スタイルだ(少なくとも、最もよく知られているものだと言っていいだろう)。なかにはセレブリティ以外で見たことのないようなスタイルも含まれているが、だからと言ってこれらを検討しない理由にはならないはずだ。 1. シェブロン セレブ例:マイルズ・テラー、ドナルド・グローバー、トム・セレック、ヘンリー・カヴィル 言わずもがな、いちばんの“定番”と言っていいのがこれだ。上唇に沿って生やし、唇の両サイドをシンプルにシェーブで整えるだけのシェブロンは、スタイル的に最も平凡なタイプかもしれない。上唇に被さるように、あるいは唇の横に少し毛が伸びてくることもあるが、それほど見映えが悪いこともない。シャープな角度に視線が向くシェブロンは、しっかりとしたスクエアなあごに特に映える。 2. アウトロー セレブ例: ペドロ・パスカル、ジェイソン・リー、ポール・メスカル サイドにやや落ちている以外はシェブロンにもよく似たアウトローは、ペドロ・パスカルのように髭の薄い男性にもよく似合うタイプだ。もしたっぷりとした濃いシェブロンが難しければ、幕を下ろすようなイメージで試行錯誤してみてほしい。アウトローは真ん中できれいに分かれるのも特徴だ。ワックスを少し付けて、左右にそれぞれ流してみよう。 3. ピラミッド セレブ例:バート・レイノルズ(映画『トランザム7000』)、マイロ・ヴィンティミリア シェブロンやアウトローにもよく似ているが、よりシャープな角度をつけたのがピラミッドだ。また、このスタイルは左右で端に向かってやや細まっていくのも特徴である。鼻の下で合流する左右の最上部は、2つ並んだ山頂のようにも見える。ピラミッドは前述の2タイプよりも大胆なステートメントスタイルと言えるが、うまく自分のものにできれば一生ものとなるだろう。 4. ハンドルバー セレブ例:ジム・キャリー(映画『ソニック・ザ・ムービー』)、ダニエル・デイ=ルイス(映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』)、ヘンリー・フォンダ(映画『西部開拓史』) 上記の例に映画の悪役キャラクターが2人も含まれているのは偶然ではない。このスタイルはややマンガっぽいか、あるいは皮肉でヒップスターを気取っているように見えるからだ。そうならないように格好をつけるには、ある程度の自信、さもなければどこまでもノンシャランな態度でいることが必要になってくる。“ハンドルバー”という名称はもちろん、自転車のハンドルバーを想起させる形からくるものだ。先端をくるりと巻いて飾りを施すこともあるが、その場合はワックスを馴染ませて数回鉛筆などに巻き付けるといい。 5. ハーフ・ホースシュー セレブ例:バッド・バニー、ザ・ウィークエンド、ダニー・トレホ ハンドルバーと混同しがちなハーフ・ホースシューは、完全なホースシュー(馬蹄型)に比べてずっと取り入れやすいスタイルだ。ホースシューと違いサイドラインはあごにまで達さず、口元で留まる。口髭の付いたゴーティから、唇より下の毛をすっかり無くしたようなイメージだ。サイドはそこから1~2センチ降ろしてみてもいいだろう。 6. ホースシュー セレブ例:ハルク・ホーガン、ジョージ・マイケル さまになるのが非常に難しいスタイルである。口髭の世界におけるマレットヘアに相当するホースシューは、ホーガンやマイケルのようにエキセントリックな人物にしか簡単にこなせないかもしれない。しかしマレットだって最近カムバックを果たしたのだから、自信のある人にはぜひトライしてみてほしい。 7. ウォルラス セレブ例:ニック・オファーマン、サム・エリオット 数ある口髭のなかで最も濃く、ふさふさと茂ったスタイルがウォルラスだ。ピークをトリミングするというルールに真っ向から反しているのも、全体のかさを増すためである。コンラッドの警告によると、ウォルラスは口元を鬱陶しくさせることで有名だという。なぜなら、口を出入りする全てのものに対して障害となるからである。それは発声の妨げにすらなり、自分だけでなく周囲の人々にとっても面倒を引き起こす。それでも、たっぷりとしたウォルラスを堂々と蓄えた男性は後を絶たない。ハマったときのかっこよさは格別だからだ。 8. ペンシル セレブ例:ブラッド・ピット(映画『バビロン』)、エディ・マーフィ、ジョン・ウォーターズ、サルバドール・ダリ これもまたハードルの高いスタイルの一つ。ジョン・ウォーターズやサルバドール・ダリが模倣不可能なのには理由があるのである(ダリの場合は、ペンシルとハンドルバーのハイブリッドと言えるが)。しかし、『バビロン』や『イングロリアス・バスターズ』でのブラッド・ピットを見てほしい。我々一般人にもペンシルが試せるかもしれないという希望が湧いてくるだろう。 もちろん、ピットが“我々一般人”の参考になるかはともかくとして、彼のペンシルはエキセントリックというよりも粋な印象であり、試してみる価値は大いにある。それにペンシルは生え揃うまでの時間が最短で済むことから、失敗だと思えばリセットするのも容易なのだ。ただし、ペンシルにスタイリングする場合、鼻の直下や頬などを小まめにシェービングすることが求められる。きれいに剃った肌とのコントラストがこのスタイルの肝だからだ。 ■口髭オンリーにならない3つのスタイル 口髭だけのスタイルに抵抗があるなら、あるいはかっこよく生やすことができなければ、以下のオプションを試してほしい。 1. アンカー セレブ例:マイケル・B・ジョーダン、エディ・マーフィ、スティーヴン・ユァン あごにちょっとした無精髭を伸ばしたり、あるいはたっぷりと蓄えたとしても、バランスさえ間違えなければどんなタイプの口髭にもマッチするのがアンカーだ。あまりにも自然に見えるために、口髭を生やしていることすら意識されないほどである。口髭だけだと野暮ったく見えがちな丸顔の持ち主には特に試してみてほしい。 2. ビアード・スタッシュ セレブ例:ヘンリー・カヴィル、オスカー・アイザック、ジョン・ハム 口髭に加えて、頬からあごにかけて1~5日分ほどの無精髭を伸ばしてみるのも手だ。ビアード・スタッシュはアンカーと同じようにどんな口髭にも合わせられるが、よりニュアンスのあるコントラストが楽しめる。濃い口髭の印象を薄めの頬髭が和らげることから、口髭だけ生やすことに抵抗がある男性でもすんなり受け入れられるだろう(我々がこんな提案をするのも、残念なことに口髭に対するネガティブな意見が依然として根強いからだ)。 3. シャドー・スタッシュ セレブ例:ティモシー・シャラメ、スティーヴン・ユァン うっすらとしか生えなくても髭は髭。毛の薄い男性も、自信を持って口髭を伸ばしてみよう。控えめな印象を振りまきつつ、上記の2つと組み合わせてみるのもアリだ。口髭には無限の可能性があるのだから。 From GQ.COM By Adam Hurly Translated and Adapted by Yuzuru Todayama