ありえない!? 超ド級ミニバン[レクサスLM]は2000万円もするのに半額以下の[アルファード]よりお買い得に思ってしまうのはなぜ!?
■アルファード/ヴェルファイアの中古車価格が高騰中
その結果、アルファードとヴェルファイアの中古車価格が高騰した。レクサスLMバージョンLのベースになったアルファードハイブリッドエグゼクティブラウンジE-Fourの中古車価格は1100万~1300万円が中心だ。新車価格は前述の872万円だから、新車時の1.3~1.5倍の価格で中古車が売られている。ほかのグレードも、中古車価格は新車時の1.3~1.5倍だ。 特に登録1年を経過したガソリンのアルファードZと、ガソリンターボのヴェルファイアZプレミアの高値が顕著だ。1年経過すると相場が高くなるのは、輸出先のマレーシアやパキスタンの関税が1年経過すると安くなるから即出しのクルマよりも高くなるというわけだ。 また例年ならば2024年10月から12月、年初にかけて輸出需要が少なくなり、相場がかなり下がるのだが、今年は極端に下がったというほどでもないという。 ここまでアルファードとヴェルファイアの中古車価格が高まると、新車価格の割高なレクサスLMがむしろ買い得に感じられる。レクサスの販売店では「LMは通常通り受注され、納期は6人乗りのバージョンLが約6か月」と説明しているからだ。納期が少し長いものの、レクサスLMであれば普通に購入できる。 そうなるとアルファードハイブリッドエグゼクティブラウンジE-Fourの中古車を1200万円で購入するなら、300万円を加えて、レクサスLMバージョンLを買う方がお得ではないだろうか。 前述の通りレクサスLMバージョンLには、2.4Lターボハイブリッドや豪華な内装など、400万円相当の価値が加わっている。それが新車で購入して300万円の上乗せで手に入るなら、100万円以上は割安になる。 さらに数年後に売却する時の金額も異なる。トヨタのホームページの見積りシミュレーションによると、アルファードハイブリッドエグゼクティブラウンジE-Fourの3年後の残価(残存価値)は約584万円だ。この金額は一般的な3年後の売却額と考えてよい。アルファードの中古車をプレミアム価格の1200万円で買うと、3年後でも半額以下に値落ちする可能性がある。 しかし、レクサスLMバージョンLなら、3年後の残価は780万円だ。これは最低限度額で、実際には3年後なら900万円くらいで売却できる。アルファードハイブリッドエグゼクティブラウンジE-Fourの中古車購入と比べれば、レクサスLMバージョンLは購入時には100万円割安で、売却時にも約300万円は上乗せされるわけだ。合計400万円はトクになる。 以上のようにアルファードハイブリッドエグゼクティブラウンジE-Fourの中古車を購入するなら、レクサスLMバージョンLを新車で買う方が圧倒的に割安だ。言い換えればアルファードやヴェルファイアの中古車は、売却時の値落ちまで含めて考えると、かなり割高な買い物になってしまう。 アルファードとヴェルファイアのようなプレミアム価格の中古車が販売される直接の原因は、転売を行う業者にあるが、納期の遅延や販売停止も大きな影響を与えている。 新車として通常通り購入できれば、新車価格を大幅に上まわる中古車も流通しないからだ。アルファードとヴェルファイアに限らず、トヨタランドクルーザー300&250&70、ホンダシビックタイプR、日産GT-R、スズキジムニーなども、販売停止や納期の大幅な遅延が中古車価格を高騰させている。 購入を希望する人達に、最長でも4か月程度の納期で車両を提供できることは、新車の商品力や顧客満足度を決める大切な条件になる。 長納期や受注停止により新車が購入できないので中古車価格が高騰するなど、市場を混乱させたのでは、優れた商品とはいえないのでは……。新車を発売する前に、需要を正確に把握して、納期の遅延や販売停止を招かないように配慮すべきではないだろうか。