新型コロナ拡大でどうなる東京五輪?! IOC最古参委員が英国BBCには東京五輪の分散開催の可能性を示唆
新型コロナウイルスの世界レベルでの感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員(77、カナダ)が、英国BBC「ラジオ5」のインタビューに答え「現時点で東京五輪の準備は通常通りにある」とした上で「五輪の中止は”最悪のシナリオ”で、(IOCは)延期や世界各地での分散開催といった不慮のケースについても考慮しているのかもしれない」との見解を示した。 英国BBCが「ラジオ5」のパウンド委員のコメントを受けて報じたもの。 パウンド委員は、AP通信のインタビューでは「東京五輪開催の判断は5月下旬になる」という見方と、もし事態が収束していない場合は、延期や代替開催は難しく「中止が検討される」という意向を示していた。だが、英国のBBC「ラジオ5」に伝えた内容は、AP通信のインタビューとは、若干、異なるものだった。 パウンド委員は、「新型コロナウイルスが発生しているが、東京五輪の準備は通常通りにある」と、あくまでも現時点では何の変更もなされていないことを強調した上で、「五輪を開催するかの判断は5月遅くまで決める必要はない」と明らかにした。 ただ、その5月の時点で、新型コロナウイルスの世界的な拡大が収束していない「最悪ケース」についても言及。 「代替開催についても考慮しなければならない。まだ年内なら開催できる可能性があるのだろうか?(新型コロナウイルスの拡大を)抑えることができるかの現状を知るために日本政府と話すことになるだろう。現在は、すべてが検討中だ。例えば、いくつかの競技をカナダ、英国などで開催するなどして五輪を分散することができるのかもしれない」 競技のすべてを東京で行うのではなく、一部の競技をカナダ、英国(ロンドン)など他国に分散して開催する可能性を示唆したのだ。
IOCは「パウンド氏は現状を良く説明している」と表明
パウンド委員は、AP通信のインタビューに対しては、「五輪開催都市は、数年前から準備を進める。東京は2013年9月に認められ、それだけの大会構築時間を費やしてきた。近代五輪は、単純に施設が揃ったどこか他の都市で代替開催するようなことはできない」との見解を示していた。 ロンドン代替開催については、先日、5月に行われるロンドン市長選の立候補者の一人、ショーン・ベイリー氏が、「東京五輪が中止になった場合、2012年に五輪を開催したロンドンで代替開催ができる」との意向を示して話題になっていた。 BBCは、これらのパウンド委員の発言に関するIOC広報の声明も掲載。IOC広報は、「パウンド氏は、五輪開催の準備を迎えた現状について、とても良く説明していた」と発言を支持。 さらに「東京2020オリンピックは、感染症の発生を注視しているすべての関連組織との協力を続け、必要になるかもしれない対応策について検討する。加えてIOCは、世界保健機関(WHO)と医療専門家とも連絡を取り合っている。関連政府、特に日本や中国が、この状況に対してあらゆる手段を取ることに信頼を寄せている。(パウンド氏発言の)それ以外のことは憶測に過ぎない」との声明を明らかにした。 これらのパウンド委員の発言は決してIOCの公式見解ではない。だが、パウンド委員が、1978年からIOC委員を務める最古参で、過去に世界アンチドーピング委員会の委員長を務めたことを考えると、非公式発言ながら、これは世論への”観測気球”とも考えられる。 米ヤフーは、パウンド発言が意味するものを「パウンド氏のアスリートたちへのメッセージとしては、新型コロナウイルスに対する懸念について心配することはありません、IOCは選手たちを守ります。という姿勢に理解を求めるものだった。新型コロナウイルスが収束したか、どうかの決定は世界保健機関(WHO)の判断に任せるものとし、現時点では不確かな状況にあると明かしている」と分析していた。いずれにしろ東京五輪の開催は予断を許さない状況にはある。